5.肺癌術後の気管支断端痩が原因で発症したと思われる慢性壊死性肺アスペルギルス症の1症例
症例は70歳男性. 平成13年1月に肺原発性腺癌に対し開胸右上葉切除, リンパ節郭清術を施行した. 手術後に右胸郭内に一部死腔が残存した. その後, 外来経過観察中であったが, 平成14年10月頃より黄色痰を伴った湿性咳漱, 全身倦怠感が出現. 12月には血痰も認めるようになり胸部CTを施行されたところ右死腔部位の胸膜肥厚と内部に不整形の構造物を伴った空洞性病変, 左上肺野にも浸潤影を認め肺アスペルギローマ疑いにて入院. その後施行された気管支鏡にて右死腔と右上葉気管支断端との間に交通があり, アスペルギルスと思われる白色の菌塊も認められた. 経過中, 右病変周囲に新たな浸潤影の出現を認め,...
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Veröffentlicht in: | 気管支学 2003, Vol.25 (7), p.577-577 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は70歳男性. 平成13年1月に肺原発性腺癌に対し開胸右上葉切除, リンパ節郭清術を施行した. 手術後に右胸郭内に一部死腔が残存した. その後, 外来経過観察中であったが, 平成14年10月頃より黄色痰を伴った湿性咳漱, 全身倦怠感が出現. 12月には血痰も認めるようになり胸部CTを施行されたところ右死腔部位の胸膜肥厚と内部に不整形の構造物を伴った空洞性病変, 左上肺野にも浸潤影を認め肺アスペルギローマ疑いにて入院. その後施行された気管支鏡にて右死腔と右上葉気管支断端との間に交通があり, アスペルギルスと思われる白色の菌塊も認められた. 経過中, 右病変周囲に新たな浸潤影の出現を認め, 血清学的検査にてアスペルギルス抗体, 抗原ともに陽性であり慢性壊死性肺アスペルギルス症疑いにて当院転院となった. 気管支鏡を施行し左右の病巣の気管内採痰, washingの検体からAspergillus fumigatusが分離された. 抗真菌薬の投与を行い, 臨床所見, 画像所見ともに改善しアスペルギルス抗原も陰性化した. 肺アスペルギルス症にはいくつかの病型があり重症の免疫不全患者に急速進行性に発症する侵襲性肺アスペルギルス症, 既存空洞等に定着, 腐生し菌球を形成する肺アスペルギローマ, アレルギー疾患に分類されるアレルギー性気管支肺アスペルギルス症に主に分類される. 慢性壊死性肺アスペルギルス症は侵襲と腐生の中間に位置する病態である. 今回, 開胸手術後の死腔に術後断端痩からのアスペルギルスが侵入し肺アスペルギローマ形成後, 周囲に浸潤し対側肺にも播種したと思われる慢性壊死性肺アスペルギルス症を経験したので文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0287-2137 |