4.肺結核との鑑別を要したアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の1例

症例は51歳男性. 塗装業. 36歳時に肺結核で治療歴あり. 2002年9月頃より湿性咳漱を自覚するようになり, 近医で気管支喘息と診断され治療を受けたが, 症状は軽快しなかった. その後は定期吸入や内服も行っていなかった. この頃左下葉に浸潤影を指摘されているが自然軽快した. 2003年1月23日に湿性咳漱のため他医を受診し, 右下葉に浸潤影と周囲の散布性陰影を指摘され, 肺結核が疑われたため当院に紹介入院した. 発熱はなく, 湿性咳漱と喘鳴を認めた. 室内気で血液ガスはPaO2 61.3torr, PaC02 34.3torrと低酸素血症を認めた. 喀痰からは抗酸菌を含め起炎菌の検出はなく...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:気管支学 2003, Vol.25 (7), p.576-577
Hauptverfasser: 京樂由佳, 伊井敏彦, 平塚雄聡, 米川忠人, 隈本健司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は51歳男性. 塗装業. 36歳時に肺結核で治療歴あり. 2002年9月頃より湿性咳漱を自覚するようになり, 近医で気管支喘息と診断され治療を受けたが, 症状は軽快しなかった. その後は定期吸入や内服も行っていなかった. この頃左下葉に浸潤影を指摘されているが自然軽快した. 2003年1月23日に湿性咳漱のため他医を受診し, 右下葉に浸潤影と周囲の散布性陰影を指摘され, 肺結核が疑われたため当院に紹介入院した. 発熱はなく, 湿性咳漱と喘鳴を認めた. 室内気で血液ガスはPaO2 61.3torr, PaC02 34.3torrと低酸素血症を認めた. 喀痰からは抗酸菌を含め起炎菌の検出はなく, WBC11320/μl(Neut63.3%, Eosin14.3%), LDH1491U/liter, CRP1.91mg/dl, IgE8500IU/mlであった. ツ反は陽性. VC2. 27liter, %VC64.7%, FEV1.0 0.86liter, FEV1.0%40.3%と混合性の肺機能障害を認めた. 気管支鏡検査にて右底幹は粘調な黄緑色の痰で閉塞されており, 吸引するも完全に除去することが困難であった. 採痰にてアスペルギルス菌糸が検出され, アスペルギルス沈降抗体が陽性であったため, アレルギー性気管支肺アスペルギルス症と診断した. PSL20mg, ITCZ100mgの内服を開始し, 喘息に対してFP400μg/日の吸入を併用した. これにより浸潤影は完全に消失し, 喘息のコントロールも良好となった. 気管支鏡にて右底幹を閉塞していた痰は完全に消失し, 血液ガスはPaO2 85. 0torr, PaCO2 48. 1torrとなり, 肺機能も改善した. 約1ヵ月でPSLおよびITCZを中止したが, 以後再発なく経過している.
ISSN:0287-2137