良性肺疾患にみられた異型気道上皮の分子生物学的検討 : TBB標本における検討(第25回日本気管支学会総会)

【背景と目的】肺癌患者の異型気道上皮においては様々な遺伝子異常が報告されているが, 良性肺疾患についてはほとんどなされていない. これまで我々は肺発癌過程における早期の遺伝子異常であるとされる3p, 9pのLOH(loss of heterozygosity)が良性肺疾患においても認められることを報告してきたが, 今回さらに以下の検討を加えた. 【対象と方法】対象はTBB標本中に異型気道上皮を有した肺癌症例14例, 良性肺疾患43例の計57例72検体で, 8p22, 18q21.1のLOHをマイクロサテライトマーカーを用いて検討した. 【結果と考察】8p22(D8S549)のLOHは13検体に...

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Veröffentlicht in:気管支学 2002/04/15, Vol.24(3), pp.238
Hauptverfasser: 井上, 孝治, 中西, 洋一, 高山, 浩一, 出水, みいる, 綿屋, 洋, 南, 貴博, 石橋, 里恵, 原, 信之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【背景と目的】肺癌患者の異型気道上皮においては様々な遺伝子異常が報告されているが, 良性肺疾患についてはほとんどなされていない. これまで我々は肺発癌過程における早期の遺伝子異常であるとされる3p, 9pのLOH(loss of heterozygosity)が良性肺疾患においても認められることを報告してきたが, 今回さらに以下の検討を加えた. 【対象と方法】対象はTBB標本中に異型気道上皮を有した肺癌症例14例, 良性肺疾患43例の計57例72検体で, 8p22, 18q21.1のLOHをマイクロサテライトマーカーを用いて検討した. 【結果と考察】8p22(D8S549)のLOHは13検体において認められ, 患者背景としては良性肺疾患, 肺癌それぞれ6検体, 7検体であった. 18q(D18S474)のLOHは4検体にみられたが, いずれも肺癌患者由来の異型気道上皮であった. 8p22と18q21.1のLOHの頻度は我々がこれまでに報告した3pや9pのLOHの頻度よりも低頻度であり, 肺発癌過程においてはlate eventである可能性が示唆された. 今後さらにマイクロサテライトマーカーを追加し, 検討を加える予定である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.24.3_238_3