喀血症例に対する気管支動脈造影(BAG)の有用性について

はじめに.喀血症例に対しての気管支動脈造影(BAG)の有用性を,診断と出血部位の同定に関して検討した.対象および方法.過去3年間で喀血を主訴に当科を受診した121例の内,気管支鏡検査で出血部位が同定された49例(男性30例,女性19例,年齢は28〜85歳)を対象とし,全例にBAGを施行してその所見を検討した.結果.胸部レントゲン所見は,正常,胸膜肥厚や石灰化などの非特異的所見,および血液の吸引像などがほとんどで,出血と関連すると思われる異常所見は18例(36.7%)のみであった.出血部位としては上葉,特に右上葉が有意に頻度が高かった.疾患の内訳は,気管支拡張症が36例(73.5%)と大半を占め...

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Veröffentlicht in:気管支学 2002/03/25, Vol.24(2), pp.75-79
Hauptverfasser: 阿久澤, 浩司, 高橋, 典明, 前原, 瑞穂, 清水, 哲男, 山口, 美樹, 藤江, 俊雄, 大地, 康司, 堀江, 孝至
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに.喀血症例に対しての気管支動脈造影(BAG)の有用性を,診断と出血部位の同定に関して検討した.対象および方法.過去3年間で喀血を主訴に当科を受診した121例の内,気管支鏡検査で出血部位が同定された49例(男性30例,女性19例,年齢は28〜85歳)を対象とし,全例にBAGを施行してその所見を検討した.結果.胸部レントゲン所見は,正常,胸膜肥厚や石灰化などの非特異的所見,および血液の吸引像などがほとんどで,出血と関連すると思われる異常所見は18例(36.7%)のみであった.出血部位としては上葉,特に右上葉が有意に頻度が高かった.疾患の内訳は,気管支拡張症が36例(73.5%)と大半を占め,抗酸菌感染症,肺癌,真菌感染症を各3例認めた.また,気管支動脈造影を含めた検査で原因を特定できない特発性を1例認めた.BAG所見は47例に血管増生を認め,他の異常所見としては,拡張,濃染,シャント,仮性動脈瘤,血管外漏出などで,肺動脈とのシャントを47%に認めた.出血部位とBAG所見との相関では,気管支動脈の一枝のみに異常を認めた場合には,異常の2例以外はすべて気管支動脈の異常と気管支鏡で確認された出血部位は一致していた.二枝以上に異常を認めた場合は,出血部位とは別に同等の異常所見を認めたものが8例,より強い異常を認めたものが3例あった.まとめ.喀血症例に対するBAGは,出血部位の同定と明らかな気道病変を認めない症例に対する原因検索に有用と思われた.また,気管支動脈塞栓術(BAE)の適応を決定する上でも重要な情報源であると考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.24.2_75