気管支鏡検査にて疑陽性を呈し, 検査後に急速に増大した炎症性偽腫瘍の1手術例

炎症性偽腫瘍は比較的稀な疾患ではあるが, 画像上においても, 病理診断においても肺癌との鑑別に苦慮し, 術前診断は困難を極める. 今回我々は気管支鏡下擦過細胞診で疑陽性を呈し, 検査後に急速に増大するという, 特異な経過をたどった炎症性偽腫瘍を経験したので文献的考察を加えて報告する. 〔症例〕70歳, 男性. 高血圧で外来受診中に右下肺野の結節影を指摘された. 胸部CTで右S9に辺縁明瞭な20×15mm大の結節影を認めた. また気管支鏡下擦過細胞診で疑陽性を呈した為, 肺癌を強く疑い, 手術目的にて当科に入院した. 入院後の胸部CTでは前回CTから1ヶ月のインターバルで腫瘍経は55×35mmに...

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Veröffentlicht in:気管支学 2001, Vol.23 (3), p.97-97
Hauptverfasser: 竹内茂, 羽賀直樹, 大井田尚継
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:炎症性偽腫瘍は比較的稀な疾患ではあるが, 画像上においても, 病理診断においても肺癌との鑑別に苦慮し, 術前診断は困難を極める. 今回我々は気管支鏡下擦過細胞診で疑陽性を呈し, 検査後に急速に増大するという, 特異な経過をたどった炎症性偽腫瘍を経験したので文献的考察を加えて報告する. 〔症例〕70歳, 男性. 高血圧で外来受診中に右下肺野の結節影を指摘された. 胸部CTで右S9に辺縁明瞭な20×15mm大の結節影を認めた. また気管支鏡下擦過細胞診で疑陽性を呈した為, 肺癌を強く疑い, 手術目的にて当科に入院した. 入院後の胸部CTでは前回CTから1ヶ月のインターバルで腫瘍経は55×35mmに増大していた. 手術は右下葉切除を施行し炎症性偽腫瘍と診断した. 〔考察〕炎症性偽腫瘍は極めて稀な良性疾患であるが, 画像上孤立性結節影を呈し, 細胞診陽性例や腫瘍マーカー陽性例もあり肺癌との鑑別に苦慮する. また数年に渡る緩徐な増大例もあるが, ほとんどの症例で長期間大きさは不変で, 本例の如く急速増大例は極めて稀である. 臨床経過から明らかに気管支鏡検査を契機に増大したと考えるのが妥当で, 気管支鏡検査による鉗子の機械的刺激によって気管支粘膜が肥厚し気道閉塞機転が働き閉塞性肺炎を惹起し, 器質化したと考えられた.
ISSN:0287-2137