全身麻酔導入で低酸素血症の増悪がみられた肺胞蛋白症の1例

症例は44歳, 男性. 咳漱, 呼吸困難にて当科に入院となった. 胸部単純X線写真および胸部CT所見から肺胞蛋白症が疑われ, 気管支肺胞洗浄および経気管支肺生検で本症と診断された. 酸素31/min吸入下でのPaO_2 は76.4mmHgと低酸素血症がみられたが, 自覚症状は長時間の酸素吸入中止により呼吸困難が出現するという程度であった. 当院総合治療センターに転棟し肺洗浄を目的に全身麻酔が試みられたが, 導入時点で酸素飽和度の急激な低下をきたし, FiO_2 100%での人工呼吸管理を余儀なくされた. 胸部CTでは導入前にはみられなかった背側肺野の著明な虚脱がみられ, 全身麻酔の導入によって...

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Hauptverfasser: 三浦剛史, 松本常男, 田中伸幸, 古川又一, 松永尚文, 副島由行, 立石彰男
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は44歳, 男性. 咳漱, 呼吸困難にて当科に入院となった. 胸部単純X線写真および胸部CT所見から肺胞蛋白症が疑われ, 気管支肺胞洗浄および経気管支肺生検で本症と診断された. 酸素31/min吸入下でのPaO_2 は76.4mmHgと低酸素血症がみられたが, 自覚症状は長時間の酸素吸入中止により呼吸困難が出現するという程度であった. 当院総合治療センターに転棟し肺洗浄を目的に全身麻酔が試みられたが, 導入時点で酸素飽和度の急激な低下をきたし, FiO_2 100%での人工呼吸管理を余儀なくされた. 胸部CTでは導入前にはみられなかった背側肺野の著明な虚脱がみられ, 全身麻酔の導入によって重力効果が強く働いたものと推測された. 麻酔導入前の自覚症状からは予測が困難と思われ, 本症の治療にあたっては慎重に考慮すべき合併症と考えられた.
ISSN:0287-2137