喀血を契機に診断された肺tumorletの一例

症例は70歳女性. 主訴は喀血. 喫煙, 粉塵吸入歴はなし. 平成11年8月22日より喀血が出現し, 同日当院を受診し入院となった. 気管支鏡検査では右中葉支と右下幹に腫瘤様物質があり, 胸部CTでは中葉の虚脱と中葉支に石灰化を認めた. 4日後の気管支鏡検査では, 中葉支に腫瘤様物質物質が残っていたが, 生検ではフィブリンと好中球よりなる滲出物であり, 細胞診でも異常は認めなかった. 気管支動脈造影でも異常は認められなかった. 喀血は一時改善するも, 再び出現したため, 診断と治療目的で右中下葉切除術を施行した. 肉眼的に病変は明らかでなかったが, 病理組織では, 中葉の気管支壁の慢性の炎症と...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:気管支学 2000, Vol.22 (3), p.41-41
Hauptverfasser: 八木秀介, 柴田洋子, 岸本伸人, 山崎保寛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は70歳女性. 主訴は喀血. 喫煙, 粉塵吸入歴はなし. 平成11年8月22日より喀血が出現し, 同日当院を受診し入院となった. 気管支鏡検査では右中葉支と右下幹に腫瘤様物質があり, 胸部CTでは中葉の虚脱と中葉支に石灰化を認めた. 4日後の気管支鏡検査では, 中葉支に腫瘤様物質物質が残っていたが, 生検ではフィブリンと好中球よりなる滲出物であり, 細胞診でも異常は認めなかった. 気管支動脈造影でも異常は認められなかった. 喀血は一時改善するも, 再び出現したため, 診断と治療目的で右中下葉切除術を施行した. 肉眼的に病変は明らかでなかったが, 病理組織では, 中葉の気管支壁の慢性の炎症と一部気管支壁の拡張像を認めた. また小型で異型性の乏しい細胞の5mm以下の増殖巣がびまん性に多発して認められたが浸潤性の増殖はなかった. 免疫組織染色では, 神経内分泌腫瘍のマーカーであるchromogranin-A染色が陽性であった. よって肺tumorletと診断した. 手術後は再出血を認めず経過良好であった. 本性例は慢性炎症による気管支拡張が喀血の原因と考えられさらに, 肺tumorletを合併したと思われた. 本症は比較的まれな微小病変であり若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0287-2137