急性骨髄性白血病に合併した肺ムーコル症の1例

症例は37歳, 女性. 主訴は発熱, 咳嗽. 1997年7月急性骨髄性白血病で化学療法を開始後, 38度前後の発熱と咳嗽が出現. 胸部X線で右肺門部に浸潤影を認めた. 気管支鏡で右B^6 入口部は灰白色, ポリープ状の変性様物質で閉塞していた. 同部の生検組織から肺ムーコル症と診断し, 右下葉切除術を施行した. 諸家の報告によるとムーコル症はほとんどが2次的発症で, その約70%が造血器腫瘍, 重症糖尿病に続発して発症するとされている. また多くが血行性に他臓器に感染し, 急性壊死性病変や出血性肺梗塞を引き起こすことが予後のうえで重大な問題になっている. Tedderらは肺限局型症例において内...

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Hauptverfasser: 加藤晴通, 森下宗彦, 上島紳介, 沖良生, 渡部和近, 川尻智子, 宮良肇, 櫻井英一, 高橋邦之, 仁田正和, 吉原正, 加藤真司, 近藤一夫, 永田昌久, 原一夫, 横井太紀雄
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は37歳, 女性. 主訴は発熱, 咳嗽. 1997年7月急性骨髄性白血病で化学療法を開始後, 38度前後の発熱と咳嗽が出現. 胸部X線で右肺門部に浸潤影を認めた. 気管支鏡で右B^6 入口部は灰白色, ポリープ状の変性様物質で閉塞していた. 同部の生検組織から肺ムーコル症と診断し, 右下葉切除術を施行した. 諸家の報告によるとムーコル症はほとんどが2次的発症で, その約70%が造血器腫瘍, 重症糖尿病に続発して発症するとされている. また多くが血行性に他臓器に感染し, 急性壊死性病変や出血性肺梗塞を引き起こすことが予後のうえで重大な問題になっている. Tedderらは肺限局型症例において内科治療のみでは死亡率が50%なのに対し, 肺切除例では死亡率9.4%と改善したと報告しており, 特に造血器腫瘍に合併した治療抵抗性の肺炎に対しては本症も念頭におき検索をすすめ, 外科的治療の時期を逃さないことが重要と考えられた.
ISSN:0287-2137