気管支鏡検査を契機に急性心不全, 肺水腫をきたした SLE の 1 例

症例は45歳女性で, 労作時呼吸困難を主訴に当科を受診し, 光線過敏症, 口腔潰瘍, 関節炎, リンパ球減少, 抗核抗体陽性よりSLEと診断された。胸部X線写真では両側中下肺野に粒状網状影を認めたが心拡大はなく, 心電図は非特異的な陰性T波を認めるのみで, 腎機能は正常, PaO_2は85.6Torrであった。しかし, 気管支鏡検査後に患者はショックに陥り, 翌日に急性心不全で死亡した。剖検肺ではdiffuse alveolar damage(DAD)と肺水腫が存在した。検査後の心電図, 心エコーの異常にもかかわらず, 心筋組織は病理組織学的に正常で, 心筋炎や血管病変は指摘できなかった。SL...

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Veröffentlicht in:気管支学 1998/07/25, Vol.20(5), pp.434-438
Hauptverfasser: 吉富, 淳, 佐藤, 篤彦, 千田, 金吾, 早川, 啓史, 須田, 隆文, 八木, 健, 田村, 亨治, 妹川, 史朗, 菅沼, 秀基, 豊嶋, 幹生, 中村, 浩淑
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は45歳女性で, 労作時呼吸困難を主訴に当科を受診し, 光線過敏症, 口腔潰瘍, 関節炎, リンパ球減少, 抗核抗体陽性よりSLEと診断された。胸部X線写真では両側中下肺野に粒状網状影を認めたが心拡大はなく, 心電図は非特異的な陰性T波を認めるのみで, 腎機能は正常, PaO_2は85.6Torrであった。しかし, 気管支鏡検査後に患者はショックに陥り, 翌日に急性心不全で死亡した。剖検肺ではdiffuse alveolar damage(DAD)と肺水腫が存在した。検査後の心電図, 心エコーの異常にもかかわらず, 心筋組織は病理組織学的に正常で, 心筋炎や血管病変は指摘できなかった。SLEのDADや心機能異常に加え, 気管支鏡検査による低酸素血症が心不全, 肺水腫の誘因になったと考えられた。心不全, 肺水腫はSLEの気管支鏡検査における合併症として留意する必要がある。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.20.5_434