肺切除後気管支瘻の臨床的検討

〔目的〕肺切除後気管支瘻の臨床成績につき検討した. 〔対象〕1981年から1997年までの17年間に当科で施行した葉切除以上の肺切除あるいは気管支形成を行った症例577例のうち, 術後気管支断端あるいは吻合部に縫合不全をきたした12例を対象とした. 〔結果〕全体での気管支瘻発生率は2.1%. 術式別では葉切除術6例/465例(右6/291左0/174), 肺全摘術4例/61例(右3/19左1/42), 気管支形成術2例/51例(右2/31左0/20). 縫合法別では手縫10例/328例, 器械縫合2例/249例. 原疾患別では原発性肺癌11例, アスペルギルス症1例. 発症の時期は11例が30...

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Hauptverfasser: 中城正夫, 三浦隆, 河野洋三, 在永光行, 庄司剛, 安江和彦, 内田雄三, 田中康一
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:〔目的〕肺切除後気管支瘻の臨床成績につき検討した. 〔対象〕1981年から1997年までの17年間に当科で施行した葉切除以上の肺切除あるいは気管支形成を行った症例577例のうち, 術後気管支断端あるいは吻合部に縫合不全をきたした12例を対象とした. 〔結果〕全体での気管支瘻発生率は2.1%. 術式別では葉切除術6例/465例(右6/291左0/174), 肺全摘術4例/61例(右3/19左1/42), 気管支形成術2例/51例(右2/31左0/20). 縫合法別では手縫10例/328例, 器械縫合2例/249例. 原疾患別では原発性肺癌11例, アスペルギルス症1例. 発症の時期は11例が30日以内の早期であった. 治療とその成績では, 3例に保存的治療を行い軽快, 7例に手術(開窓2, 直接縫合1, 直接縫合+肋間筋充填2, 直接縫合+大網充填2)を施行し, 5例は軽快, 2例は死亡(呼吸不全1, 多臓器不全1). 他の2例は治療にいたらずに死亡(喀血1, 対側肺炎1)した. 〔結語〕術後気管支瘻の発生頻度は, 術式別では肺全摘後に有意に高く, 術側別では右側が高い傾向にあった. 原疾患別では肺癌が多く, 郭清に伴う虚血性変化の影響が考えられた. ひとたび気管支瘻が発生すると予後は重篤であり, 残存肺の状態によっては致命的となる.
ISSN:0287-2137