エタノール直接注入療法が奏効した気管内腫瘍の2例

今回肺癌における気管閉塞に対し腫瘍内エタノール直接注入を行い, 救命し得た2症例を経験した. 〔症例1〕53歳男性, 縦隔原発肺腺癌Stage IIIb(T4N2M0)の診断で化学療法を2クール施行後, 外来にて経過観察していた. 退院1ヶ月後に呼吸困難が出現し緊急入院となった. 気管支鏡にて気管内約80%を占拠するポリープ状の腫瘍を認めた. 緊急的に気道閉鎖の開存を目的としエタノール注入療法を行なった. エタノールを1回につき2~2.5ml注入し10日間に計4回施行した. この結果気管はほぼ完全に開通した. 〔症例2〕49歳男性, 急性呼吸不全状態で緊急入院. 胸部レ線, 胸部CTにて気管を...

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Veröffentlicht in:気管支学 1997, Vol.19 (4), p.77-77
Hauptverfasser: 朱宰弘, 倉光薫, 水越哲也, 西祐一, 小林良樹, 芝崎正順, 井上憲一, 田部一秋, 木村功, 坂田憲史, 丸尾仁, 永田真, 坂本芳雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:今回肺癌における気管閉塞に対し腫瘍内エタノール直接注入を行い, 救命し得た2症例を経験した. 〔症例1〕53歳男性, 縦隔原発肺腺癌Stage IIIb(T4N2M0)の診断で化学療法を2クール施行後, 外来にて経過観察していた. 退院1ヶ月後に呼吸困難が出現し緊急入院となった. 気管支鏡にて気管内約80%を占拠するポリープ状の腫瘍を認めた. 緊急的に気道閉鎖の開存を目的としエタノール注入療法を行なった. エタノールを1回につき2~2.5ml注入し10日間に計4回施行した. この結果気管はほぼ完全に開通した. 〔症例2〕49歳男性, 急性呼吸不全状態で緊急入院. 胸部レ線, 胸部CTにて気管を圧排する腫瘍性病変が認められた. 気管支鏡では気管が圧排され粘膜面に肉芽様に腫瘍が浸潤しており, 著明な気管閉塞が認められ緊急に気管内挿管した. 生検により扁平上皮癌と診断した. この肉芽様病変, 圧排狭窄病変の改善を目的にエタノール注入を1回2~2.5cc注入を計2回施行し気管内腔の開大が得られたので抜管し以降放射線療法を行った. 〔結論〕エタノール注入療法は, 腫瘍病変に伴う気管狭窄, 圧排等による急性呼吸不全に対し, 即効的に気道閉塞の解除を期待できる有用的治療であると考えられた.
ISSN:0287-2137