原発性肺クリプトコッカス症の1例
症例は62歳, 女性. 無症状で基礎疾患はなく, ハトとの接触歴もなかった. 平成8年7月18日, 保健所検診で胸部異常陰影を指摘され当科受診. 1年前の胸部X線写真は正常であったが, 今回右下葉内に限局する径8~20mm大の多発結節影が出現. さらに一部のものはspiculationを有していたため, 原発性肺癌や転移性肺癌を疑い, 気管支鏡等の全身検索を施行するも確診に至らなかった. 確診を得る目的で開胸し, 一部の腫瘍を迅速病理に提出したところクリプトコッカス症と診断されたため, 他の腫瘍は切除せず手術を終了した. 術後に血清クリプトコッカス抗原を測定したところ陽性であった. 術後残存病...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 症例は62歳, 女性. 無症状で基礎疾患はなく, ハトとの接触歴もなかった. 平成8年7月18日, 保健所検診で胸部異常陰影を指摘され当科受診. 1年前の胸部X線写真は正常であったが, 今回右下葉内に限局する径8~20mm大の多発結節影が出現. さらに一部のものはspiculationを有していたため, 原発性肺癌や転移性肺癌を疑い, 気管支鏡等の全身検索を施行するも確診に至らなかった. 確診を得る目的で開胸し, 一部の腫瘍を迅速病理に提出したところクリプトコッカス症と診断されたため, 他の腫瘍は切除せず手術を終了した. 術後に血清クリプトコッカス抗原を測定したところ陽性であった. 術後残存病変に対し, アンフォテリシンB吸入とフルコナゾール静注を2週間, さらにイトラコナゾールとフルコナゾールの内服を3ヵ月間施行したところ陰影はほぼ消失した. 肺クリプトコッカス症は, 孤立性もしくは多発性の結節影を呈することがあり, 悪性疾患との鑑別が困難な時がある. 本症例の如く, 多発性結節影を見た場合には, 悪性疾患のみならず肺クリプトコッカス症も疑ってみる必要がある. |
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ISSN: | 0287-2137 |