気管ステント挿入による気管音の変化の検討

〔目的〕我々は, 悪性腫瘍により, 気管, 気管支狭窄をきたした患者に, 気管, 気管支ステントを挿入し, 呼吸器症状の改善を試みている. 今回, 3症例について, ステント挿入前後での, 気管音の変化を解析したので報告する. 〔方法〕気管支ステントはExpandable Metallic Stent(EMS)を使用し, 挿入前後の気管音を, 肺音計で分析した. 〔結果〕症例1は, 87歳男性で, 右上葉原発の扁平上皮癌で, 気管, 左右主気管支の狭窄を認めた. 気管, 左右主気管支にEMSを挿入した. 気管音は, EMS挿入後に1000Hz以上の高調成分が減少し, 挿入前に認められていたrh...

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Veröffentlicht in:気管支学 1996, Vol.18 (3), p.92-92
Hauptverfasser: 谷口泰之, 村田朗, 工藤翔二, 渡潤, 隈崎達夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:〔目的〕我々は, 悪性腫瘍により, 気管, 気管支狭窄をきたした患者に, 気管, 気管支ステントを挿入し, 呼吸器症状の改善を試みている. 今回, 3症例について, ステント挿入前後での, 気管音の変化を解析したので報告する. 〔方法〕気管支ステントはExpandable Metallic Stent(EMS)を使用し, 挿入前後の気管音を, 肺音計で分析した. 〔結果〕症例1は, 87歳男性で, 右上葉原発の扁平上皮癌で, 気管, 左右主気管支の狭窄を認めた. 気管, 左右主気管支にEMSを挿入した. 気管音は, EMS挿入後に1000Hz以上の高調成分が減少し, 挿入前に認められていたrhonchiは消失した. 症例2は, 66歳男性で, 右S^10 原発の扁平上皮癌で, 縦隔リンパ節転移により, 左右主気管支が狭窄した. 左右主気管支に各々2連のEMSを挿入した. 気管音は, EMS挿入後に1000Hz以上の高周波成分の減少をみたが, 新たにrhonchiが出現した. 症例3は, 原発不明の腺癌で縦隔リンパ節の腫大により, 気管, 右主気管支に壁外性圧排を認めた. 気管, 右主気管支にEMSを挿入した. 症例3は, 術前の呼吸苦はあまりなく, EMS挿入前後での気管音の異常, 変化はなかった. 1, 2症例ともEMS挿入後すぐに気管音の変化が現れたが, 血液ガスは一時的にかえって増悪した. 〔結論〕1)狭窄した気管支をステントにより拡張することにより, 気管音の1000Hz高調成分が減少することが示唆された. 2)ステント挿入により, 連続性ラ音の出現や消失をみる症例がある. 3)気管音の改善は, 血液ガスよりも早く, EMS挿入成功の評価の一つになると考えられた.
ISSN:0287-2137