気管支鏡による気管切開閉鎖創の観察

〔目的〕気管切開(気切)には, 種々の合併症がみられる. 気切の晩期合併症(気切後遺症)としての気管肉芽腫症を早期に発見し予防する目的で気切部閉鎖創を観察検討した. 〔対象〕東京医科大学救急医療センターと会田病院ICUにおいて実施された気切171例のうち, 生存し気切孔を閉鎖できた症例は41例であり, そのうち閉鎖創を気管支鏡的に観察できた26例を検討対象とした. 〔方法〕気管カニューレを抜去した後2週間以内に, 気管支鏡を用いて閉鎖創を観察した. Grade I:ほぼ正常, Grade II:陥凹を伴う肉芽腫性変化, Grade III:ポリープ状の変化, Grade IV:気管狭窄の変化に...

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Veröffentlicht in:気管支学 1996, Vol.18 (3), p.78-78
Hauptverfasser: 金井尚之, 小池荘介, 平嶺陽子, 会田征彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:〔目的〕気管切開(気切)には, 種々の合併症がみられる. 気切の晩期合併症(気切後遺症)としての気管肉芽腫症を早期に発見し予防する目的で気切部閉鎖創を観察検討した. 〔対象〕東京医科大学救急医療センターと会田病院ICUにおいて実施された気切171例のうち, 生存し気切孔を閉鎖できた症例は41例であり, そのうち閉鎖創を気管支鏡的に観察できた26例を検討対象とした. 〔方法〕気管カニューレを抜去した後2週間以内に, 気管支鏡を用いて閉鎖創を観察した. Grade I:ほぼ正常, Grade II:陥凹を伴う肉芽腫性変化, Grade III:ポリープ状の変化, Grade IV:気管狭窄の変化に分類した. 〔結果〕Grade Iは, 縦切開0例, 横切開3例, くり貫き3例, 逆U字切開3例で, Grade IIは順に1, 2, 2, 4例, Grade IIIは1, 0, 1, 4例, Grade IVは0, 2, 0, 0例であった. Grade IVの2例はともに男性でカニューレ留置期間も83・206日間と他に比し長い傾向がみられた. 2例とも焼灼術を行い軽快した. また気管支鏡観察以後気管の狭窄症状が出現した例はなかった. 〔考察〕気切の晩期合併症には気切部肉芽がもっとも多く, その成立には留置期間・感染・体動など様々な原因が考えられる. 気管支鏡による気切閉鎖創の早期観察は, 気切後遺症の早期発見が可能であり, 予防さらにはより適切な呼吸管理につながる有効な方法と思われる.
ISSN:0287-2137