気管支循環からみた気管支の形態と機能
〔目的〕気管支動脈は肺実質および気管支の栄養血管であるのみでなく肺梗塞など肺循環が障害されたときに気管支循環が肺循環を補うなど互いに密接な関係がある. また肺移植や気管支形成術後の気管支の創傷治癒に両循環系からの血液供給が重要な働きをしている. ヒト正常肺および気管支拡張症肺を用いて両循環系の関係を形態学的に検討した. 〔方法〕病理解剖時に肉眼的にほぼ正常と思われた左肺を5体摘出し気管支動脈にはオレンジ色のシリコンラバーを130cmの水中圧で注入し, 肺動脈に直径40μmの黒色カーボン粒子を混入した黄色のシリコンラバーを40cmの水中圧で注入し血管系の鋳型を作成し立体顕微鏡で観察した. 同様な...
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Veröffentlicht in: | 気管支学 1996, Vol.18 (3), p.17-17 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 〔目的〕気管支動脈は肺実質および気管支の栄養血管であるのみでなく肺梗塞など肺循環が障害されたときに気管支循環が肺循環を補うなど互いに密接な関係がある. また肺移植や気管支形成術後の気管支の創傷治癒に両循環系からの血液供給が重要な働きをしている. ヒト正常肺および気管支拡張症肺を用いて両循環系の関係を形態学的に検討した. 〔方法〕病理解剖時に肉眼的にほぼ正常と思われた左肺を5体摘出し気管支動脈にはオレンジ色のシリコンラバーを130cmの水中圧で注入し, 肺動脈に直径40μmの黒色カーボン粒子を混入した黄色のシリコンラバーを40cmの水中圧で注入し血管系の鋳型を作成し立体顕微鏡で観察した. 同様な方法で気管支拡張症症例の切除肺にシリコンラバーを注入し立体顕微鏡で観察した. 〔結果および考察〕正常肺では気管支動脈が直線状ないし蛇行しながら末梢へ向かって走行し, 気管支静脈へと移行しこれが気管支から離れるとすぐに肺静脈へ流入する像が明確に観察された. また区域支ないし亜区域支のレベルの気管支動脈内に肺胞毛細血管を通過しえない直径40μmの黒色カーボン粒子がみられた. これは気管支動脈と肺動脈との間に前毛細血管性の吻合が存在することを示唆する所見であると思われた. しかしながらその吻合は直接観察されずその数は正常肺では少ないものと思われた. これらの所見を気管支拡張症症例の切除肺とも比較し報告する. |
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ISSN: | 0287-2137 |