頸部気管鋭的損傷症例の検討

1994年までに当院で経験した頸部気管鋭的損傷症例は6例である. 男性5例, 女性1例で, 年齢は12歳から65歳であった. 受傷機転は, 自殺4例, 不慮の事故2例で, 受傷の原因は刃物によるもの3例, ガラス片2例, 木片1例であった. 気管損傷の程度は, 4分の1周を越えるもの4例, 5mm以下のもの2例であった. 損傷が膜様部にまで及んだ症例は3例で, 特に1例は, 気管前面軟骨部の損傷が, 5mm程であったにもかかわらず, 穿通による膜様部損傷を認めた. 周囲臓器の損傷は, 口腔内, 喉頭蓋挫傷1例, 内頸静脈損傷1例, 食道穿孔1例, 食道外膜損傷2例であった. 術式は気管形成術+...

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Veröffentlicht in:気管支学 1995, Vol.17 (3), p.47-47
Hauptverfasser: 田川努, 伊藤重彦, 新海清人, 岡田代吉, 西田卓弘, 山口慎也, 生田安司, 大江久圀, 辻野直之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1994年までに当院で経験した頸部気管鋭的損傷症例は6例である. 男性5例, 女性1例で, 年齢は12歳から65歳であった. 受傷機転は, 自殺4例, 不慮の事故2例で, 受傷の原因は刃物によるもの3例, ガラス片2例, 木片1例であった. 気管損傷の程度は, 4分の1周を越えるもの4例, 5mm以下のもの2例であった. 損傷が膜様部にまで及んだ症例は3例で, 特に1例は, 気管前面軟骨部の損傷が, 5mm程であったにもかかわらず, 穿通による膜様部損傷を認めた. 周囲臓器の損傷は, 口腔内, 喉頭蓋挫傷1例, 内頸静脈損傷1例, 食道穿孔1例, 食道外膜損傷2例であった. 術式は気管形成術+食道縫合閉鎖術1例, 気管形成術3例と, 1例は膜様部が縦隔側へ約5cm裂傷を生じ, 胸骨縦切開後に気管形成術を施行し, 1例は損傷部を気管切開チューブ挿入口とした. 術後人工呼吸器による管理を必要としたのは, 血液を誤嚥し肺炎を合併した1例と, 胸骨縦切開した1例の合計2例であった. 術後の気管瘻, 食道瘻はなく, 1例に嗄声が生じたのみで, 直接死亡例はなかった. 周囲臓器の損傷程度と, 穿通損傷時の気管後壁損傷程度の把握, 2次的気管損傷の防止が肝要と考えられた.
ISSN:0287-2137