肺切除後断端瘻への有茎大網弁被覆の有用性

〔目的〕肺切除後の合併症のひとつに気管支断端瘻があり, 時として呼吸不全や膿胸を惹起し難渋する事がある. 今回われわれは気管支断端瘻に対する有茎大網弁の有用性を検討したので報告する. 〔対象, 方法〕過去5年間に肺切除後に断端瘻を来たした症例12例に対し大網弁被覆を行なった. 基礎疾患は肺癌11例, 肺膿瘍1例であり, 術式は全摘10例, 中下葉切除2例であった. 全例に先行するドレナージを行ない, その後に大網被覆を行なったものが7例であり, 断端の追加切除を加え再縫合後に被覆したものは2例, 気管支形成術を加えたものが1例であった. また開窓術の後に二期的に被覆したものが1例, 断端追加切...

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Hauptverfasser: 安藤公英, 草野卓雄, 岩崎昭憲, 白日高歩, 本広昭, 広田暢雄
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:〔目的〕肺切除後の合併症のひとつに気管支断端瘻があり, 時として呼吸不全や膿胸を惹起し難渋する事がある. 今回われわれは気管支断端瘻に対する有茎大網弁の有用性を検討したので報告する. 〔対象, 方法〕過去5年間に肺切除後に断端瘻を来たした症例12例に対し大網弁被覆を行なった. 基礎疾患は肺癌11例, 肺膿瘍1例であり, 術式は全摘10例, 中下葉切除2例であった. 全例に先行するドレナージを行ない, その後に大網被覆を行なったものが7例であり, 断端の追加切除を加え再縫合後に被覆したものは2例, 気管支形成術を加えたものが1例であった. また開窓術の後に二期的に被覆したものが1例, 断端追加切除後再縫合で不成功例に用いたものが1例であった. 〔結果〕12例中11例は大網が生着し成功したが, 追加縫合後二期的に被覆した例は不成功に終わった. 〔結語〕気管支断端瘻に対する有茎大網弁の被覆は大網の血流が豊富で, かつ浄化作用が強い事より良好な結果を得たが, 既往手術で大網が切除されている症例では使用出来ず, また開腹操作が加わる事により侵襲が大きくなる欠点がある. また不成功に終わった1例のように瘻孔が大きく再縫合が出来ない症例には治癒が期待できない場合があると考えられた.
ISSN:0287-2137