大動脈走行異常による先天性気管狭窄
気管狭窄は先天性のものと後天性のものとに大きく分けられるが, その多くは気管支や気管支周囲の臓器・組織に発生した腫瘍により引き起こされた後天性のものである. 先天性気管狭窄症は非常に稀な疾患であり, ほとんどは幼小時に発症し, 診断される. 今回我々は, 鎖骨下動脈分岐異常により気管狭窄をきたした成人発症の1症例を経験したので報告する. 症例は39才, 男性. 持続する咳嗽および胸部圧迫感を主訴に来院した. 家族歴, 既往歴には特記すべきことなく, 喫煙指数は400であった. 胸部X線写真で右上縦隔の異常陰影と気管支の圧排所見を認めたため, 縦隔腫瘍を疑い精査・加療を目的に入院となった. CT...
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Zusammenfassung: | 気管狭窄は先天性のものと後天性のものとに大きく分けられるが, その多くは気管支や気管支周囲の臓器・組織に発生した腫瘍により引き起こされた後天性のものである. 先天性気管狭窄症は非常に稀な疾患であり, ほとんどは幼小時に発症し, 診断される. 今回我々は, 鎖骨下動脈分岐異常により気管狭窄をきたした成人発症の1症例を経験したので報告する. 症例は39才, 男性. 持続する咳嗽および胸部圧迫感を主訴に来院した. 家族歴, 既往歴には特記すべきことなく, 喫煙指数は400であった. 胸部X線写真で右上縦隔の異常陰影と気管支の圧排所見を認めたため, 縦隔腫瘍を疑い精査・加療を目的に入院となった. CT, MRI, 大動脈造影検査を施行され, 右鎖骨下動脈分岐異常およびKommerell憩室を認めた. 気管支鏡検査では, 気管下部に外圧性の隆起を認め, 内腔の約50%の狭窄を認めた. 食道内視鏡検査では, 門歯より約22~26cmの部位に食道の右外側方よりの圧排所見を認めた. いずれも粘膜面の異常所見は見られなかった. 現在, 外来で経過観察を行っており, 将来的には外科的療法の必要があるものと考えている. |
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ISSN: | 0287-2137 |