異時性3臓器重複癌の既往を有する同時性多発性気管・気管支癌の1例

肺門部の扁平上皮癌は多発する可能性のあることが知られているが, 気管癌と気管支肺胞系に発生する肺癌の重複は稀である. 今回我々は最近5年間にS状結腸癌, 右下葉の肺扁平上皮癌, 胃癌の既往を有する多発性の原発性気管・気管支癌の症例を経験したので報告する. 症例は68歳男性. 3重複癌の治療後の経過観察中に咳嗽, 喀痰がみられるようになり, 喀痰細胞診でclassV(扁平上皮癌)と診断された. 気管支鏡検査では気管上部3箇所に径5mm程度の小隆起が散在性にみられ, さらに気管下部と左主気管支にもそれら3病変よりも大きな結節状腫瘤を認めた. 各々の生検組織内に既往肺癌とは分化度や細胞形態の異なる扁...

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Veröffentlicht in:気管支学 1993, Vol.15 (4), p.64-64
Hauptverfasser: 黒川慶三, 森田祐二, 犬塚学, 今隼人, 栗原将人, 中田尚志, 山岸雅彦, 浅川三男, 阿部庄作
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:肺門部の扁平上皮癌は多発する可能性のあることが知られているが, 気管癌と気管支肺胞系に発生する肺癌の重複は稀である. 今回我々は最近5年間にS状結腸癌, 右下葉の肺扁平上皮癌, 胃癌の既往を有する多発性の原発性気管・気管支癌の症例を経験したので報告する. 症例は68歳男性. 3重複癌の治療後の経過観察中に咳嗽, 喀痰がみられるようになり, 喀痰細胞診でclassV(扁平上皮癌)と診断された. 気管支鏡検査では気管上部3箇所に径5mm程度の小隆起が散在性にみられ, さらに気管下部と左主気管支にもそれら3病変よりも大きな結節状腫瘤を認めた. 各々の生検組織内に既往肺癌とは分化度や細胞形態の異なる扁平上皮癌胞巣がみられ, それらのうち2箇所の病変において上皮内増生像, 他の2箇所の病変においてもそれを疑わせる像が認められたため, 多発性の原発性気管・気管支癌と診断した.
ISSN:0287-2137