心嚢炎で発症し, 胸膜炎と気管支転移を合併した悪性胸腺腫の 1 例

心嚢炎で発症し, 約1年の経過をもって胸膜炎と気管支転移を合併した悪性胸腺腫の55歳男性症例について報告した。心嚢炎と胸膜炎に関した病理学的確診はえられなかったが, これらは共通の性状と治療経過を示したことから悪性胸腺腫の直接浸潤と考えた。原発巣と気管支病変に関しては病理学的確診がえられ, 画像診断より, 原発巣と気管支病変の連続性が認められないことから, 気管支病変は転移と考えた。治療に関して, 本例では多剤併用療法により部分的寛解後, 縦隔を主とした根治的放射線療法を行い, その後約1年の経過を通じて原発巣の縮小を維持できた。また漿膜浸潤の増悪も局所の化学療法により対処しうるものと想定され...

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Veröffentlicht in:気管支学 1993/03/25, Vol.15(2), pp.185-193
Hauptverfasser: 小野寺, 秀記, 竹村, 周平, 笠松, 美宏, 辻本, 庄司, 西山, 勝彦, 土橋, 康成, 杉本, 尚仁, 中原, 梨佐, 土井, たかし, 杉野, 成, 近藤, 元治
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:心嚢炎で発症し, 約1年の経過をもって胸膜炎と気管支転移を合併した悪性胸腺腫の55歳男性症例について報告した。心嚢炎と胸膜炎に関した病理学的確診はえられなかったが, これらは共通の性状と治療経過を示したことから悪性胸腺腫の直接浸潤と考えた。原発巣と気管支病変に関しては病理学的確診がえられ, 画像診断より, 原発巣と気管支病変の連続性が認められないことから, 気管支病変は転移と考えた。治療に関して, 本例では多剤併用療法により部分的寛解後, 縦隔を主とした根治的放射線療法を行い, その後約1年の経過を通じて原発巣の縮小を維持できた。また漿膜浸潤の増悪も局所の化学療法により対処しうるものと想定された。転移を伴った悪性胸腺腫の延命には, 化学療法のdose intensificationが必要と考えられ, G-CSFをはじめとした補助あるいは併用療法の検討が今後の重要課題となるものと思われた。本例の死因は, 心嚢炎の再燃と肝転移に伴う多臓器疾患であった。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.15.2_185