抗血栓薬内服下の高齢者頭部外傷に対する治療戦略
抗血栓薬内服下における頭部外傷は,頭蓋内血腫が大きく重症で転帰不良とされ,抗血栓薬を中断・中和し出血傾向を是正すべきか否かが問題となるが,その基準は確立していない.本研究では,近年行われた高齢者頭部外傷入院例の多施設共同登録調査(Think FAST registry)から,抗血栓薬内服下の頭部外傷の現状を検討し中断・中和基準について考察した.Think FAST registryに登録された65歳以上の頭部外傷入院例780例を対象に,年齢,性別,外傷前mRS,重症度,血液・凝固検査所見,CT所見(midline shift),talk and deteriorate(T & D)率,...
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Veröffentlicht in: | NEUROSURGICAL EMERGENCY 2024, Vol.29(1), pp.47-54 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 抗血栓薬内服下における頭部外傷は,頭蓋内血腫が大きく重症で転帰不良とされ,抗血栓薬を中断・中和し出血傾向を是正すべきか否かが問題となるが,その基準は確立していない.本研究では,近年行われた高齢者頭部外傷入院例の多施設共同登録調査(Think FAST registry)から,抗血栓薬内服下の頭部外傷の現状を検討し中断・中和基準について考察した.Think FAST registryに登録された65歳以上の頭部外傷入院例780例を対象に,年齢,性別,外傷前mRS,重症度,血液・凝固検査所見,CT所見(midline shift),talk and deteriorate(T & D)率,転帰などについて,抗血栓薬内服例と非内服例に分けて検討した.抗血栓薬内服例では中断・中和の有無により2群に分けた検討も行った.抗血栓薬内服例は非内服例と比較して,重症度に差はないが,有意に外傷前mRSが不良で,CT上midline shiftが強く,T & D率が高く,転帰不良であった.抗血栓薬のうち,抗血小板薬内服例では内服中断例は内服継続例と比較して,有意に重症でCT上midline shiftが強く転帰不良であった.抗凝固薬内服例では内服中断例は継続例と比較して重症度,転帰とも有意差は認められなかったが,中和例は非中和例と比較して有意に重症で開頭手術施行率が高く,転帰に有意差はなかった.抗血栓薬内服下の高齢者頭部外傷では,重症例に対する抗凝固薬中和療法は開頭手術を可能とし,一定の転帰改善効果が示唆されるが,中断のみでは効果は不十分と思われた. |
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ISSN: | 1342-6214 2434-0561 |
DOI: | 10.24723/jsne.29.1_47 |