鼻出血で発症した解離性内頚動脈瘤破裂の一例

鼻出血で発症した解離性内頚動脈瘤破裂の一例を経験したので報告する. 症例は92歳女性,鼻出血の止血困難を主訴に当院を救急受診した.造影CT,MRIにて左蝶形骨洞内に血腫の充満,および左蝶形骨洞内に突出する不整形の内頚動脈瘤を認め,内頚動脈瘤破裂による鼻出血と判断した.来院時には鼻出血は少量となっていたため,翌日蝶形骨洞内に突出した出血点のコイル塞栓術を施行したが,術後7日,14日に再度鼻出血を認めた.2回目の再出血時は出血量が多く,血圧低下を伴っていたため,再度コイル塞栓術を行うこととした.脳血管撮影では,初回のコイル塞栓部の頭尾側に解離が進行し,内頚動脈が広範囲に解離により拡張し,ブレブを伴...

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Veröffentlicht in:NEUROSURGICAL EMERGENCY 2023, Vol.28(2), pp.132-138
Hauptverfasser: 桑本, 雄平, 坂本, 誠, 網﨑, 秀史, 清水, 剛, 中島, 定男, 宇野, 哲史, 神部, 敦司, 黒崎, 雅道
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:鼻出血で発症した解離性内頚動脈瘤破裂の一例を経験したので報告する. 症例は92歳女性,鼻出血の止血困難を主訴に当院を救急受診した.造影CT,MRIにて左蝶形骨洞内に血腫の充満,および左蝶形骨洞内に突出する不整形の内頚動脈瘤を認め,内頚動脈瘤破裂による鼻出血と判断した.来院時には鼻出血は少量となっていたため,翌日蝶形骨洞内に突出した出血点のコイル塞栓術を施行したが,術後7日,14日に再度鼻出血を認めた.2回目の再出血時は出血量が多く,血圧低下を伴っていたため,再度コイル塞栓術を行うこととした.脳血管撮影では,初回のコイル塞栓部の頭尾側に解離が進行し,内頚動脈が広範囲に解離により拡張し,ブレブを伴っていた.側副血行が不十分で,母血管温存が必須と考えられたためステント併用コイル塞栓術を行い,止血を得ることができた.鼻出血の再発無く経過良好で施設入所となった.治療の約1か月後に,心不全で近医入院中にくも膜下出血を発症し永眠した.鼻出血発症の内頚動脈瘤破裂は報告が少なく,頭部外傷と関係するとの報告があるが本症例は明らかな外傷歴を認めなかった.当初は解離が硬膜外蝶形骨洞部にとどまっていたが,頭蓋内へ解離が進展し,くも膜下出血を来したと考えられた.母血管閉塞±バイパス等,様々な治療選択肢があるが,年齢や全身状態によって決定すべきである.本症例では脳血管内手術を選択したが,予後不良であった.
ISSN:1342-6214
2434-0561
DOI:10.24723/jsne.28.2_132