重症脳底動脈閉塞に対する機械的血栓回収術

【はじめに】急性脳底動脈閉塞は重症例が多く致命的な疾患である.機械的血栓回収術の有効性が示唆されているもののエビデンスは十分といえないのが現状である.今回我々が経験した急性脳底動脈閉塞症例のうち,特に重症例に対して行われた血栓回収術について検討した.【対象と方法】2018年6月1日から2020年3月31日まで入院した急性脳底動脈閉塞症に対して機械的血栓回収術を行った症例9例のうち,発症時のNIHSSが26点以上の7例を対象とした.【結果】性別は全員が男性であり,年齢43~78歳(平均64±13.6歳),治療前NIHSSは27~37点(平均32.7±4.2点)であった.pc‒ASPECTSの中央...

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Veröffentlicht in:NEUROSURGICAL EMERGENCY 2021, Vol.26(1), pp.60-66
Hauptverfasser: 柿沼, 千夏, 鹿児島, 海衛, 山田, 匠, 石井, 希和, 藤巻, 広也, 朝倉, 健, 好本, 裕平
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【はじめに】急性脳底動脈閉塞は重症例が多く致命的な疾患である.機械的血栓回収術の有効性が示唆されているもののエビデンスは十分といえないのが現状である.今回我々が経験した急性脳底動脈閉塞症例のうち,特に重症例に対して行われた血栓回収術について検討した.【対象と方法】2018年6月1日から2020年3月31日まで入院した急性脳底動脈閉塞症に対して機械的血栓回収術を行った症例9例のうち,発症時のNIHSSが26点以上の7例を対象とした.【結果】性別は全員が男性であり,年齢43~78歳(平均64±13.6歳),治療前NIHSSは27~37点(平均32.7±4.2点)であった.pc‒ASPECTSの中央値(範囲)は5(3‒6),全例でTICI 2b以上の再開通が得られた.Onset to recanalization time(O2R)は中央値276分(172‒749),Puncture to recanalization time(P2R)は中央値40分(29‒76)であった.手技に伴う合併症を認めた症例はなかった.90日後のmRS 0‒2の予後良好例は1例のみで,死亡が5例となった.また,人工呼吸器または昇圧剤を用いながら施行した4例では,1例がmRS 5で,残る3例はmRS 6であった.【まとめ】重症急性脳底動脈閉塞症に対する機械的血栓回収術は再開通が得られても転帰が不良なことが多い.その中でも少ないながらも予後良好となる症例もあり,症例選択は重要となる.今後症例を蓄積し知見を増やすことで適応判断の正確性を高めていく必要がある.
ISSN:1342-6214
DOI:10.24723/jsne.26.1_60