内科的治療後の急性期再発に対して機械的血栓回収術とCASが有効であったtandem lesionの症候性脳梗塞の1例

急性虚血性脳卒中治療において,同側血管系の遠位と近位に閉塞が存在するtandem lesionへの治療指針はcontroversialである.放射線治療由来の高度狭窄病変から発症した内頚動脈閉塞とそこから塞栓子が流れて生じたと考えられた中大脳動脈閉塞のtandem lesion病変に対して内科的治療を選択したが急性期に再発し,機械的血栓回収術(mechanical thrombectomy: MT)と頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting: CAS)を併用し良好な転帰を得た症例を経験したので報告する.症例は60代男性で,一過性の左視野欠損消失後2時間で出現した麻痺...

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Veröffentlicht in:NEUROSURGICAL EMERGENCY 2020, Vol.25(2), pp.344-351
Hauptverfasser: 木幡, 一磨, 小野寺, 康暉, 中島, まゆ, 小倉, 丈司, 大森, 重宏, 神山, 信也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:急性虚血性脳卒中治療において,同側血管系の遠位と近位に閉塞が存在するtandem lesionへの治療指針はcontroversialである.放射線治療由来の高度狭窄病変から発症した内頚動脈閉塞とそこから塞栓子が流れて生じたと考えられた中大脳動脈閉塞のtandem lesion病変に対して内科的治療を選択したが急性期に再発し,機械的血栓回収術(mechanical thrombectomy: MT)と頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting: CAS)を併用し良好な転帰を得た症例を経験したので報告する.症例は60代男性で,一過性の左視野欠損消失後2時間で出現した麻痺と失語を主訴に救急搬送となった.来院時Japan Coma Scale (JCS) 3,右不全麻痺と運動性失語を認め,National Institute of Health stroke scale(NIHSS)は8点であった.左中大脳動脈島部(M2)閉塞に伴う新規脳梗塞と同側内頚動脈閉塞を認め,tandem lesion病変と診断した.脳血管撮影を行い血栓溶解療法のみ実施,翌日に神経学的脱落症状は消失した.病歴聴取で中咽頭癌放射線治療歴に由来する慢性内頚動脈狭窄が閉塞に至り血栓が末梢に流れ出て中大脳動脈を閉塞したと推測し,抗血小板薬の投与開始となった.発症4日目に突然の意識障害(JCS 20)と右完全麻痺,全失語が出現し(NIHSS: 17点),緊急実施した磁気共鳴血管画像(magnetic resonance angiography: MRA)で左中大脳動脈起始部閉塞を認めた.血管内治療を選択し,MTで頭蓋内閉塞血管を再開通させた後,頚部内頚動脈にCASを実施して良好な拡張と血流を得た.術後,運動性失語と高次機能障害が軽度残存したのみで神経症状改善し,発症より26日で転院となった.内頚動脈慢性高度狭窄から生じたtandem lesionの脳梗塞に対し,内科的治療は有効であるが急性期再発のリスクを念頭に置くべきであり,MTとCASを合併症に留意しつつ併用するのは有効な治療選択肢と考えられる.
ISSN:1342-6214
DOI:10.24723/jsne.25.2_344