慢性硬膜下血腫術後の抗凝固療法にて再発と後遺症を生じた非弁膜症性心房細動の1例
非弁膜症性心房細動(NVAF)で長期にwarfarin服用中の84歳女性.外傷性慢性硬膜下血腫の手術後,心原性脳梗塞のリスクを考慮し術後早期にwarfarinを主体に抗凝固療法を再開した.その後慢性硬膜下血腫が短期間で再発し,プロトロンビン時間国際標準比(PT‒INR)の過剰な延長を認めた.warfarinをvitamin Kにて中和した後に再手術を行なったが血腫の圧排による脳梗塞を生じた.再手術後は直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)を投与し,その後は再発なく治癒した.慢性硬膜下血腫の周術期に抗凝固療法が必要な症例に,どのような凝固管理を行うかは決まった方法はないが,文献的には術後早期からの抗...
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Veröffentlicht in: | NEUROSURGICAL EMERGENCY 2020, Vol.25(1), pp.75-81 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 非弁膜症性心房細動(NVAF)で長期にwarfarin服用中の84歳女性.外傷性慢性硬膜下血腫の手術後,心原性脳梗塞のリスクを考慮し術後早期にwarfarinを主体に抗凝固療法を再開した.その後慢性硬膜下血腫が短期間で再発し,プロトロンビン時間国際標準比(PT‒INR)の過剰な延長を認めた.warfarinをvitamin Kにて中和した後に再手術を行なったが血腫の圧排による脳梗塞を生じた.再手術後は直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)を投与し,その後は再発なく治癒した.慢性硬膜下血腫の周術期に抗凝固療法が必要な症例に,どのような凝固管理を行うかは決まった方法はないが,文献的には術後早期からの抗凝固薬の再開は,再発への影響は少なく考慮して良いと思われる.PT‒INRが再発率へ影響するかどうかの検討は十分ではなく,管理が困難な症例はDOACが再発予防に有利である可能性がある.再発時の神経症状が軽度であっても,迅速な凝固能の補正や緊急の手術を要する症例があり注意が必要である. |
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ISSN: | 1342-6214 |
DOI: | 10.24723/jsne.25.1_75 |