内視鏡的粘膜下層剥離術で切除し得た低分化型Barrett's食道腺癌の1例
「抄録」「緒言」: 本邦におけるBarrett食道腺癌(Barrett's adenocarcinoma; BAC)は食道癌のうち7.1%とされ稀である. その組織型は, 深達度が深くなるにつれて低分化・未分化癌を認める割合が増加するとされるものの, 深達度が粘膜固有層(lamina propria mucosae; LPM)までの症例で低分化~未分化癌を認めた症例の報告はない. 今回, 内視鏡で治療し得た低分化BACの1例を報告する. 「症例」: 60歳台後半, 女性. 逆流性食道炎に対し, 1回/年の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy: E...
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Veröffentlicht in: | 川崎医学会誌 2024, Vol.50, p.57-64 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「抄録」「緒言」: 本邦におけるBarrett食道腺癌(Barrett's adenocarcinoma; BAC)は食道癌のうち7.1%とされ稀である. その組織型は, 深達度が深くなるにつれて低分化・未分化癌を認める割合が増加するとされるものの, 深達度が粘膜固有層(lamina propria mucosae; LPM)までの症例で低分化~未分化癌を認めた症例の報告はない. 今回, 内視鏡で治療し得た低分化BACの1例を報告する. 「症例」: 60歳台後半, 女性. 逆流性食道炎に対し, 1回/年の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy: EGD)による経過観察が行われていた. 定期検査のEGDでBarrett's 食道(Barrett's esophagus: BE)領域内に径10mmの陥凹性病変を認めた. 生検でsignet-ring cell carcinomaが検出され, 紹介受診した. 当院でのEGDで, BE領域内, 右側前壁に10mmの白色調の陥凹性病変を認めた. 狭帯域光観察(narrow band imaging: NBI)を用いた観察では, 未分化癌に矛盾しない所見であった. 癌の粘膜下層深部浸潤を疑う所見に乏しく, 内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection: ESD)の方針となった. 病理組織学的検索の結果, 病変部は低分化癌が主体で, 印環細胞癌も混在しており, 深達度はLPMと判断した. 検索範囲の脈管およびリンパ管に浸潤を認めず, 治癒切除と診断した. 「結語」: 非常にまれな低分化~未分化成分が主体のBAC症例で, ESDにより切除し得た1例を報告した. BE症例で, 発癌リスクを伴う場合は, 定期的なEGDがBACの早期発見に重要である. |
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ISSN: | 0386-5924 |