胸水細胞診で形質細胞腫が疑われた血管免疫芽球性T細胞リンパ腫
「抄録」血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(angioimmunoblastic T-cell lymphoma: AITL)は新WHO分類において末梢T細胞/NK細胞腫瘍に分類されているT細胞性腫瘍である. その臨床像は, 全身リンパ節腫大, 肝脾腫, 発熱, 多クローン性高γグロブリン血症など多様な症状を呈することが知られている. 今回, 我々は胸水細胞診で形質細胞腫が疑われたAITLを経験したので報告する. 症例は80歳代の女性. 近医にて気管支喘息治療中に, 喘息症状が悪化し, 全身の皮疹が出現. 両側胸水貯留, CRP高値が出現したため, 精査治療目的で当院紹介となった. 血液検査で貧血を...
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Veröffentlicht in: | 川崎医学会誌 2017, Vol.43 (1), p.57-62 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「抄録」血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(angioimmunoblastic T-cell lymphoma: AITL)は新WHO分類において末梢T細胞/NK細胞腫瘍に分類されているT細胞性腫瘍である. その臨床像は, 全身リンパ節腫大, 肝脾腫, 発熱, 多クローン性高γグロブリン血症など多様な症状を呈することが知られている. 今回, 我々は胸水細胞診で形質細胞腫が疑われたAITLを経験したので報告する. 症例は80歳代の女性. 近医にて気管支喘息治療中に, 喘息症状が悪化し, 全身の皮疹が出現. 両側胸水貯留, CRP高値が出現したため, 精査治療目的で当院紹介となった. 血液検査で貧血を認め, 末梢血に形質細胞様の異型リンパ球を10%認めた. 胸水には大小不同のCD138陽性形質細胞を多数認め細胞診で形質細胞腫が疑われたが, 胸水セルブロックではκ・λの軽鎖制限を認めなかった. 骨髄検査では, 形質細胞の増加を認めず赤芽球癆の状態であった. 皮下腫瘤を生検した結果, AITLと診断した. AITLは, 腫瘍細胞が直接的・間接的にサイトカインを産生し, それに起因した多彩な臨床像を呈する. そのため, AITLは反応性に形質細胞の増加を伴うことが多く, 本症例は, 反応性に胸水中に形質細胞の増加を伴ったと考えられた. また, AITLは赤芽球癆を合併することも報告されている. AITLでは, 反応性の形質細胞増多を伴う胸水貯留や赤芽球癆をきたす場合があることに注意すべきである. |
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ISSN: | 0386-5924 |
DOI: | 10.11482/kmj-j43(1)57 |