当院における便潜血陽性者に対する大腸CT (CTコロノグラフィー) 検査の有用性 : 大腸がん検診への導入と課題

「抄録」 大腸がん検診におけるスクリーニング検査としての大腸CT(CTcolonography: CTC)検査の有用性を検討するために, 当院における便潜血陽性者に対するCTCと大腸内視鏡検査の精度比較を行った. 2009年7月から2014年1月までに川崎医科大学附属病院で施行されたCTC検査673件中, スクリーニング目的で行われた411件の中で便潜血陽性者に対して行われた183名を対象とした. 全例CTC検査と同日に全大腸内視鏡検査も行った. 対象とする病変は内視鏡観察あるいは病理組織学的に腺腫, がんと診断されたものとした. CTCの前処置は, 経口腸管洗浄剤に水溶性造影剤による標識(タ...

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Veröffentlicht in:川崎医学会誌 2016, Vol.42 (1), p.15-23
Hauptverfasser: 大澤元保, 松本啓志, 葉祥元, 福嶋真弥, 平井伸典, 岩本泰明, 林田麻美, 塚本真知, 中藤流以, 村尾高久, 石井学, 藤田穣, 垂水研一, 山下直人, 眞部紀明, 楠裕明, 本多啓介, 鎌田智有, 井上和彦, 畠二郎, 塩谷昭子, 春間賢
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:「抄録」 大腸がん検診におけるスクリーニング検査としての大腸CT(CTcolonography: CTC)検査の有用性を検討するために, 当院における便潜血陽性者に対するCTCと大腸内視鏡検査の精度比較を行った. 2009年7月から2014年1月までに川崎医科大学附属病院で施行されたCTC検査673件中, スクリーニング目的で行われた411件の中で便潜血陽性者に対して行われた183名を対象とした. 全例CTC検査と同日に全大腸内視鏡検査も行った. 対象とする病変は内視鏡観察あるいは病理組織学的に腺腫, がんと診断されたものとした. CTCの前処置は, 経口腸管洗浄剤に水溶性造影剤による標識(タギング)を付けて行った. CT装置は16列Multi-slice CT(MSCT), 腸管拡張は自動炭酸ガス注入器を使用した. CTC読影は, まず仮想内視鏡(3D)で行い, 後に多断面再構成像(Multi-planar reconstruction: MPR像(2D))を行う3D primary法で行った. 183名(男性98名, 女性85名, 年齢40~86歳, 平均年齢62.1歳±0.8歳)のうち, 病変を認めなかったのは87名(47.5%)であり, 病変を認めたのは96名(53%)であった. 総病変数は191個であり, うち6mm以上の病変は77個(40%)で, そのうち10mm以上のものは46個(24%)であった. 大腸癌は25例(全病変中13%)で, うち腺腫内癌16例(全病変中8%)であった. 側方発育型腫瘍は8例(4%)(大きさ平均17mm)であった. 病変のうち, 内視鏡的切除が行われたものは34病変であり, 手術が行われたものは22病変であった. 病変形態別による描出率は隆起型病変80%で, 平坦型病変65%であった. 病変サイズ別の精度は10mm以上の病変(n=46)で感度96%, 陽性適中率98%であり, 6mm以上の病変(n=77)で感度83%, 陽性適中率79%であった. CTCは便潜血陽性者において良好な精度を示し, 大腸がんスクリーニング法としての可能性がある.
ISSN:0386-5924