自己記入式認知機能検査日本語版(Test Your Memory-J)のアルツハイマー病診断における有用性

「抄録」アルツハイマー病(AD)の診断には, Mini-Mental State Examination(MMSE)や長谷川式簡易知能評価スケール改訂版(HDS-R)などの質問法による認知症検査が広く用いられてきた. 2009年に英国Brown らは, 自己記入式の認知機能検査であるTest Your Memory(TYM)を開発し, AD診断における感度が93%, 特異度が86%と報告した. そこで我々は, 日本語版のTYM(TYM-J)を用いて, ADや軽度認知障害(MCI)診断に対する有用性について検討した. 2010年3月から2011年6月に当科外来を受診して, MMSE, HDS-R...

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Veröffentlicht in:川崎医学会誌 2011, Vol.37 (4), p.177-184
Hauptverfasser: 久徳弓子, 大澤裕, 櫛田隆太郎, 深井雄太, 伊澤奈々, 力丸満恵, 宮崎裕子, 黒川勝己, 村上龍文, 砂田芳秀
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「抄録」アルツハイマー病(AD)の診断には, Mini-Mental State Examination(MMSE)や長谷川式簡易知能評価スケール改訂版(HDS-R)などの質問法による認知症検査が広く用いられてきた. 2009年に英国Brown らは, 自己記入式の認知機能検査であるTest Your Memory(TYM)を開発し, AD診断における感度が93%, 特異度が86%と報告した. そこで我々は, 日本語版のTYM(TYM-J)を用いて, ADや軽度認知障害(MCI)診断に対する有用性について検討した. 2010年3月から2011年6月に当科外来を受診して, MMSE, HDS-R を施行し, AD, MCI, および健常と診断した連続334例を研究対象とした. 全例で外来の待ち時間にTYM-J を施行した. 内訳はAD患者群159名, MCI患者群128名, 健常者コントロール(NC)群47名で, TYM-Jスコアの平均値は, NC群44.21点に対して, MCI患者群39.80点, AD患者群32.10点と各群間で有意な差異を認めた. NC群と比較してAD患者群では文章コピーの項目を除く全ての下位項目で得点が低下していた. またMCI患者群では見当識, 知識, 呼称, 視空間/構成2課題, 文章想起の項目で有意に得点低下が認められた. TYM-Jスコア42点をカットオフとした場合には, AD+MCI群の診断感度は81.5%, 診断特異度は72.3%となり, 英国のTYJとほぼ同等の結果が得られた. 一方, 英国の結果とは異なり, 教育年数はTYM-Jスコアに影響した. 本研究から外来の待ち時間に自己記入ができるTYM-Jは, 従来のMMSEやHDS-Rなどの質問式検査と並んで, AD診断に有用な簡易スクリーニング検査となり得ると考えられた.
ISSN:0386-5924