上腹部不定愁訴(機能性ディスペプシア: FD)の現況と, その漢方治療
「抄録」 腹部不定愁訴患者は, 近年, 機能性ディスペプシア(functional dyspepsia: FD)と呼ばれるようになった. FDの病態には消化管運動異常, 内臓知覚過敏, 酸分泌異常, 精神的因子などが関与しているため, 治療には消化管運動改善薬, 酸分泌抑制薬, 抗うつ薬などが用いられることが多いが, 治療に難渋する例も多い. 一方, 本邦ではFDに対しては漢方治療も古くから広く行われており, 適切な証(症状や所見)の患者に使用すれば, 著明な効果を発揮する. 多因子疾患に“合剤”を用いる治療法は, 高血圧でも見られるようになったが, 複数の効果を持つ生薬の“合剤”である漢方方...
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Veröffentlicht in: | 川崎医学会誌 2011, Vol.37 (3), p.97-106 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「抄録」 腹部不定愁訴患者は, 近年, 機能性ディスペプシア(functional dyspepsia: FD)と呼ばれるようになった. FDの病態には消化管運動異常, 内臓知覚過敏, 酸分泌異常, 精神的因子などが関与しているため, 治療には消化管運動改善薬, 酸分泌抑制薬, 抗うつ薬などが用いられることが多いが, 治療に難渋する例も多い. 一方, 本邦ではFDに対しては漢方治療も古くから広く行われており, 適切な証(症状や所見)の患者に使用すれば, 著明な効果を発揮する. 多因子疾患に“合剤”を用いる治療法は, 高血圧でも見られるようになったが, 複数の効果を持つ生薬の“合剤”である漢方方剤はそれを先取りしていたと言える. 大きな欠点であったエビデンスの少なさは解消されつつあり, 漢方治療は西洋薬が不得意とする分野をカバーする治療法として, 今後さらに注目されると思われる. 「緒言」 上部消化管内視鏡検査や腹部超音波検査で, 症状の原因となる疾患を認めないにもかかわらず, 胃もたれや心窩部痛などの上腹部症状(腹部不定愁訴)を訴える患者は, 近年, 機能性ディスペプシア(functional dyspepsia: FD)と呼ばれるようになった. |
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ISSN: | 0386-5924 |