15. 思春期の不登校における広汎性発達障害のスクリーニング法に関する研究
【背景, 目的】近年, 不登校を呈する児童の中に高機能広汎性発達障害(高機能自閉性障害とアスペルガー障害)が含まれていることが注目されており, 鑑別が問題となっている. 本研究では, 不登校を主訴に外来受診した患者で, 高機能広汎性発達障害もしくは適応障害と診断された患者について, 高機能広汎性発達障害者のスクリーニング検査を用いて有効性の比較検討を試みた. 【対象】2005年6月から2006年6月までに, 川崎医科大学附属病院心療科外来を, 不登校を主訴として受診した中高生の患者で, 米国精神医学会による「精神疾患の分類と診断の手引き」(DSM-IV-TR)により, 自閉性障害かアスペルガー...
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Veröffentlicht in: | 川崎医学会誌 2006, Vol.32 (3), p.167-167 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【背景, 目的】近年, 不登校を呈する児童の中に高機能広汎性発達障害(高機能自閉性障害とアスペルガー障害)が含まれていることが注目されており, 鑑別が問題となっている. 本研究では, 不登校を主訴に外来受診した患者で, 高機能広汎性発達障害もしくは適応障害と診断された患者について, 高機能広汎性発達障害者のスクリーニング検査を用いて有効性の比較検討を試みた. 【対象】2005年6月から2006年6月までに, 川崎医科大学附属病院心療科外来を, 不登校を主訴として受診した中高生の患者で, 米国精神医学会による「精神疾患の分類と診断の手引き」(DSM-IV-TR)により, 自閉性障害かアスペルガー障害と診断され, 同時に知能指数が70以上であった高機能広汎性発達障害14名(平均年齢15.7歳)と適応障害(不安障害2名を含む)と診断された12名(平均年齢15.5歳)であった. 【方法】充分な説明と同意のもとに, 患者には児童用自閉症スペクトラム指数(Autism-Spectrum Quotient:AQ)を, 親には高機能自閉症スペクトラム, スクリーニング質問用紙(High-Functioning Autism Spectrum Screening Questionnaire:ASSQ-R)の記載を依頼した. 広汎性発達障害の患者は, 知能検査を施行し, 精神遅滞がないことを確認した. 【結果】高機能広汎性発達障害群と適応障害群において, 児童用AQ20点以上の高得点者の出現率に有意な差を認めたが, ASSQ-R19点以上の高得点者の出現率には有意な差は認めなかった. また高機能広汎性発達障害群において, 児童用AQ20点以上の高得点者の出現率は, ASSQ-R19点以上の高得点者の出現率より有意に高かった. 【考察】思春期の患者に児童用AQを施行することが, 家族にASSQ-Rを施行するよりも, 高機能広汎性発達障害のスクリーニングとして有効な可能性が高いと考えた. また高機能広汎性発達障害における児童用AQの高得点群の出現率とASSQ-Rの高得点群の出現率との乖離は, 親が子どもの症状に気づきにくい可能性を示唆するものと考えた. |
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ISSN: | 0386-5924 |