血管芽細胞腫(中川)

8歳, 男児の背部に生じた血管芽細胞腫(中川)を報告した. 3年前より背部に軽度の圧痛を伴った紅斑が出現し, 徐々に拡大するため当科を受診した. 初診時, 左肩甲骨下縁に手掌大の暗赤色浸潤性局面があり, 局面の一部には丘疹を伴っていた. 局所の発汗亢進は明らかではなかった. 組織像では真皮上層から深層にかけて, 惰円形の核を持った血管内皮細胞類似の細胞が巣状に増殖し, 小管腔を多数形成していた. 管腔内には赤血球を認め, 腫瘍細胞には異型性や核分裂像は見られなかった. 以上より本症例を血管芽細胞腫と診断し, 無治療にて経過観察を行った. 本症の予後と治療適応につき検討を加えた. (平成5年10...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:川崎医学会誌 1993, Vol.19 (3), p.249-252
Hauptverfasser: 延藤俊子, 幸田衛, 植木宏明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:8歳, 男児の背部に生じた血管芽細胞腫(中川)を報告した. 3年前より背部に軽度の圧痛を伴った紅斑が出現し, 徐々に拡大するため当科を受診した. 初診時, 左肩甲骨下縁に手掌大の暗赤色浸潤性局面があり, 局面の一部には丘疹を伴っていた. 局所の発汗亢進は明らかではなかった. 組織像では真皮上層から深層にかけて, 惰円形の核を持った血管内皮細胞類似の細胞が巣状に増殖し, 小管腔を多数形成していた. 管腔内には赤血球を認め, 腫瘍細胞には異型性や核分裂像は見られなかった. 以上より本症例を血管芽細胞腫と診断し, 無治療にて経過観察を行った. 本症の予後と治療適応につき検討を加えた. (平成5年10月2日採用) はじめに 血管芽細胞腫は1949年に中川によって提唱された疾患1)で, 本邦では良性の血管腫と悪性の血管肉腫の中間に位置する血管腫として認識され, 本邦ではこれまでに130数例の報告がある. 欧米においては本疾患名での報告はなく, 深部に存在するcapillary hemangiomaとして良性疾患と認識されているようである.
ISSN:0386-5924