直腸癌縫合不全症例の検討 -背景因子と治療を中心に

過去17年間に当科で経験した直腸癌前方切除術225例中, 縫合不全を来した22例(9.8%)を対象として, 縫合不全発生に関与する因子, 手技上の問題点, 進行度との関連性, 治療法などについて検討した. 縫合不全発生のrisk factorとして糖尿病, 低蛋白血症, 輸血の有無, 手術時間などが注目された. 全例の縫合不全発現時期は術後8.6日, このうちmajor leak群では5.6日, minor leak群のみでは9.3日であった. (major leakとminor leakは腸内容の流出量及び全身症状の程度で判断した.) minor leak群は全例保存的に治癒したが, maj...

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Veröffentlicht in:川崎医学会誌 1993, Vol.19 (1), p.37-43
Hauptverfasser: 岩本末治, 木元正利, 牟礼勉, 今井博之, 笠井裕, 藤森恭孝, 小牧隆夫, 忠岡好之, 吉田和弘, 山本康久, 佐野開三
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:過去17年間に当科で経験した直腸癌前方切除術225例中, 縫合不全を来した22例(9.8%)を対象として, 縫合不全発生に関与する因子, 手技上の問題点, 進行度との関連性, 治療法などについて検討した. 縫合不全発生のrisk factorとして糖尿病, 低蛋白血症, 輸血の有無, 手術時間などが注目された. 全例の縫合不全発現時期は術後8.6日, このうちmajor leak群では5.6日, minor leak群のみでは9.3日であった. (major leakとminor leakは腸内容の流出量及び全身症状の程度で判断した.) minor leak群は全例保存的に治癒したが, major leak群では5例中2例(40%)に再手術を余儀なくされた. 死亡例はmajor leak群の5例中3例(60%)にみられた. 全身管理とともに早期の人工肛門造設が重要であると思われた. (平成5年1月22日採用) 緒言 大腸手術に伴う縫合不全は, 致命的な転帰をとることもある最も危惧すべき術後合併症のひとつである. 今回, 大腸癌手術のなかでも特に縫合不全発生率の高い直腸前方切除術症例を対象に, その発生に関与する諸因子, 手技上の問題点, 進行度との関係, 治療方法, 並びに縫合不全が局所再発に及ぼす影響の有無などについて検討した.
ISSN:0386-5924