研究の二面性

「概要」デカルト的近代合理主義的な思考のもとに現在の科学は進歩してきたが, 分析的・還元主義的な方法のみでは解決できないことがわかってきた. 部分から全体へと総合的・主観的な思考への復帰の兆しが見えている. 科学の第二のルネッサンスである. 「はじめに」医学研究を行う場合, 実験によって多くの事実を積み上げて, そこからある規則性を見出す帰納的方法inductionと, 既知の法則を拡張して一般理論から特殊な事柄を導き出す演繹的方法deductionを適当に組み合わせて利用していることが多い. 研究や教育においても, すぐ役に立つものとすぐには役に立たないものとがあり, 日本では前者に価値を認...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:KAWASAKI IGAKKAI SHI LIBERAL ARTS & SCIENCE COURSE 1996 (22), p.37-40
1. Verfasser: 斎藤泰一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「概要」デカルト的近代合理主義的な思考のもとに現在の科学は進歩してきたが, 分析的・還元主義的な方法のみでは解決できないことがわかってきた. 部分から全体へと総合的・主観的な思考への復帰の兆しが見えている. 科学の第二のルネッサンスである. 「はじめに」医学研究を行う場合, 実験によって多くの事実を積み上げて, そこからある規則性を見出す帰納的方法inductionと, 既知の法則を拡張して一般理論から特殊な事柄を導き出す演繹的方法deductionを適当に組み合わせて利用していることが多い. 研究や教育においても, すぐ役に立つものとすぐには役に立たないものとがあり, 日本では前者に価値を認めることが強いが, 西欧では伝統的に後者が強い. pragmatismの国と思われている米国においても, ヨーロッパの伝統を受け継いで後者もしっかりと行われている. 日本の医学研究ではドイツ医学を受け入れた実験医学, 研究医学が幅を利かせ, 権威と結びついて研究至上主義, 研究のための研究に陥ってしまった.
ISSN:0386-5398