HLA-DR15陽性のシクロスポリン依存性再生不良性貧血患者の造血幹前駆細胞における高頻度なHLA-DR欠失
「背景」特発性再生不良性貧血(acquired aplastic anemia, AA)は, 造血幹前駆細胞(HSPC)が自己反応性T細胞によって攻撃されて枯渇する結果, 汎血球減少を来す自己免疫疾患である. 治療としては, 抗胸腺細胞グロブリンやシクロスポリン(CsA)などによる免疫抑制療法が行われる. しかし, 自己反応性T細胞が認識するHSPC上の自己抗原の正体は未だ分かっていない. 他の多くの自己免疫疾患と同様, 特定のHLAクラスI, クラスIIとの関連が知られている. HLAクラスIについては, 特定のHLAクラスIを欠失することで細胞障害性T細胞(CTL)からの攻撃を回避したエス...
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Veröffentlicht in: | 金沢大学十全医学会雑誌 2023-08, Vol.132 (2), p.59-62 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「背景」特発性再生不良性貧血(acquired aplastic anemia, AA)は, 造血幹前駆細胞(HSPC)が自己反応性T細胞によって攻撃されて枯渇する結果, 汎血球減少を来す自己免疫疾患である. 治療としては, 抗胸腺細胞グロブリンやシクロスポリン(CsA)などによる免疫抑制療法が行われる. しかし, 自己反応性T細胞が認識するHSPC上の自己抗原の正体は未だ分かっていない. 他の多くの自己免疫疾患と同様, 特定のHLAクラスI, クラスIIとの関連が知られている. HLAクラスIについては, 特定のHLAクラスIを欠失することで細胞障害性T細胞(CTL)からの攻撃を回避したエスケープ造血が報告されている. HLAクラスIIについては, 日本人の健常人コホートと比較して, AA患者ではHLA-DR15の保有率が高いことが知られている. また, HLA-DR15陽性, 特にDRB1*15:01陽性例は免疫抑制療法への反応性が高く, 寛解期でもCsAを完全には中止できない依存例が多い, すなわち寛解期においても免疫学的攻撃が続きやすいことも報告されている. |
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ISSN: | 0022-7226 |