p53変異と大腸がんの悪性化

「はじめに」がんで検出されるTP53遺伝子変異のほとんどはアミノ酸置換型のミスセンス変異である. この変異p53は, 正常p53とは異なる新たな機能を獲得して発がん促進に作用することからGain of Function(GOF)変異と称される. GOF変異p53はLi-Fraumeni症候群の若年性がん発症原因遺伝子としても知られている. 一方, 正常p53は低栄養, 低酸素といった環境から来る外的ストレスやDNA損傷などの細胞内ストレスを察知して細胞周期停止や細胞死を誘導するなど, がんの発生や増殖を抑制する重要ながん抑制因子である. 興味深いことに, GOF変異p53が発現しているがん細胞...

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Veröffentlicht in:金沢大学十全医学会雑誌 2023-04, Vol.132 (1), p.20-25
1. Verfasser: 中山瑞穂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」がんで検出されるTP53遺伝子変異のほとんどはアミノ酸置換型のミスセンス変異である. この変異p53は, 正常p53とは異なる新たな機能を獲得して発がん促進に作用することからGain of Function(GOF)変異と称される. GOF変異p53はLi-Fraumeni症候群の若年性がん発症原因遺伝子としても知られている. 一方, 正常p53は低栄養, 低酸素といった環境から来る外的ストレスやDNA損傷などの細胞内ストレスを察知して細胞周期停止や細胞死を誘導するなど, がんの発生や増殖を抑制する重要ながん抑制因子である. 興味深いことに, GOF変異p53が発現しているがん細胞では正常p53遺伝子がLoss of heterozygosity(LOH)により欠損していることが知られている. このことは正常p53のがん抑制機能の喪失とGOF変異p53が獲得したがん促進機能のそれぞれが, がんの発生や悪性化に重要な役割を果たしていると考えられる.
ISSN:0022-7226