11. Carcinoma in adenomaが強く疑われた口蓋部唾液腺腫瘍の1例
口蓋粘膜には多数の小唾液腺が分布し, 小唾液腺由来の腫瘍の好発部位でもある. 組織型では多形性腺種の発症頻度が最も高く, また時として非常に多彩な組織像を呈することがある. 今回我々は, 87歳の女性の口蓋正中部に約10年という長期経過を経て増大した唾液腺腫瘍の症例を経験した. 腫瘤はその肉眼所見や経過から, 概ね良性腫瘍を思わせるものであった. しかし腫瘤中央部は壊死組織が露出し, MRIやFDG-PETの画像検査所見からは悪性腫瘍を疑わせる結果も得られた. したがって我々は腫瘤に対して悪性腫瘍に準じた手術を施行した. その病理組織所見は悪性転化を窺わせる部位が多発性にみられた唾液腺腫瘍Ca...
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Veröffentlicht in: | 昭和歯学会雑誌 2007, Vol.27 (4), p.316-317 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 口蓋粘膜には多数の小唾液腺が分布し, 小唾液腺由来の腫瘍の好発部位でもある. 組織型では多形性腺種の発症頻度が最も高く, また時として非常に多彩な組織像を呈することがある. 今回我々は, 87歳の女性の口蓋正中部に約10年という長期経過を経て増大した唾液腺腫瘍の症例を経験した. 腫瘤はその肉眼所見や経過から, 概ね良性腫瘍を思わせるものであった. しかし腫瘤中央部は壊死組織が露出し, MRIやFDG-PETの画像検査所見からは悪性腫瘍を疑わせる結果も得られた. したがって我々は腫瘤に対して悪性腫瘍に準じた手術を施行した. その病理組織所見は悪性転化を窺わせる部位が多発性にみられた唾液腺腫瘍Carcinoma in adenomaであった. 現在外来で経過観察中であるが, 軟口蓋の穿孔の残存や機能障害, また再発や転移はみられず術後経過は良好である. これまでにも良性唾液腺腫瘍から悪性腫瘍が生じた症例は比較的多くの報告があり, その中には本症例のように良性唾液腺腫瘍と考えられるものでも悪性化をきたしているケースがある. そのため今回の症例は診断に苦慮し, また診療には十分配慮する必要性を再認識した. |
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ISSN: | 0285-922X |