26.嚥下音産生部位の検討

頸部聴診法は嚥下音のスクリーニング検査法として広く用いられている.聴診において嚥下音,呼気音は診断の重要な鍵となるが,聴取される嚥下音の産生機序については報告が少なく,未だ不明な点が多いのが現状である.今回,新しい動画像,音響信号解析システムを用い,健常人を対象として嚥下動態と嚥下音について解析し,健常成人における嚥下音の産生部位とその出現頻度,ならびに産生部位における嚥下音の周波数特性について検討した.対象は顎口腔系に器質的,機能的に異常がない健常成人12名であった.VF検査時の試料は誤嚥時に肺毒性の少ないとされているイオパミロンを使用し,直立姿勢の状態で,コップから直接口腔内に試料を摂取さ...

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Veröffentlicht in:昭和歯学会雑誌 2006, Vol.26 (1), p.105-105
Hauptverfasser: 中山裕司, 南雲正男, 高橋浩二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:頸部聴診法は嚥下音のスクリーニング検査法として広く用いられている.聴診において嚥下音,呼気音は診断の重要な鍵となるが,聴取される嚥下音の産生機序については報告が少なく,未だ不明な点が多いのが現状である.今回,新しい動画像,音響信号解析システムを用い,健常人を対象として嚥下動態と嚥下音について解析し,健常成人における嚥下音の産生部位とその出現頻度,ならびに産生部位における嚥下音の周波数特性について検討した.対象は顎口腔系に器質的,機能的に異常がない健常成人12名であった.VF検査時の試料は誤嚥時に肺毒性の少ないとされているイオパミロンを使用し,直立姿勢の状態で,コップから直接口腔内に試料を摂取させた.嚥下は,口腔内に試料を保持させた後自由嚥下とし,次のセッションまでの間隔は約10秒とした.嚥下数は1被検者につき8嚥下ずつで,男性5名,女性7名の計96嚥下を記録した.〈結果〉1.舌根部通過音は,全96嚥下中62嚥下(64-5%)の頻度で出現した.2.喉頭蓋通過音は,全96嚥下中86嚥下(89.5%)の頻度で出現した.3.食道入口部通過音は全96嚥下中92嚥下(95.8%)の頻度で出現した.4.全96嚥下中,嚥下音産生部位パターンは6通り認められ,最も出現頻度の高かったものは,舌根部通過音・喉頭蓋通過音,食道入口部の全3部位から記録されるパターンで53嚥下(55.2%)であった.5.舌根部通過音から喉頭蓋通過音,舌根部通過音と食道入口部通過音の移行では第1ピーク周波数は上昇または高くなる傾向にあり,喉頭蓋通過音と食道入口部通過音に移行するに従い第1ピーク周波数は下降する傾向にあった.
ISSN:0285-922X