手術にともなう肺血栓塞栓症
飛行機の座席に長時間座っていた人が, 呼吸困難や心肺停止に陥る「エコノミークラス症候群」が近年注目を集めている. 実は, これと同様のことが, 手術中や手術後にかなりの頻度で発症している. 本稿では, 手術にともなう「エコノミークラス症候群」こと『肺血栓塞栓症』と『その原因となる深部静脈血栓症』について解説する. 1. 『深部静脈血栓症』とは 下肢の血管内の血液が心臓に戻ってくるためには, 脚の筋肉が伸び縮みすることでポンプの役割をする『筋ポンプ』, 呼吸による『呼吸ポンプ』, 歩行による足底部への体重負荷による『フットポンプ』の3つのポンプ作用が働く. 長時間座りっぱなしの状態や, 全身麻酔...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 昭和歯学会雑誌 2004/12/31, Vol.24(4), pp.401-405 |
---|---|
Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 飛行機の座席に長時間座っていた人が, 呼吸困難や心肺停止に陥る「エコノミークラス症候群」が近年注目を集めている. 実は, これと同様のことが, 手術中や手術後にかなりの頻度で発症している. 本稿では, 手術にともなう「エコノミークラス症候群」こと『肺血栓塞栓症』と『その原因となる深部静脈血栓症』について解説する. 1. 『深部静脈血栓症』とは 下肢の血管内の血液が心臓に戻ってくるためには, 脚の筋肉が伸び縮みすることでポンプの役割をする『筋ポンプ』, 呼吸による『呼吸ポンプ』, 歩行による足底部への体重負荷による『フットポンプ』の3つのポンプ作用が働く. 長時間座りっぱなしの状態や, 全身麻酔での手術中や手術後に寝たきりの状態でいると, ポンプ作用が働きにくくなり, 下肢の血液のうっ滞が生じる. その結果, 下肢や骨盤内の静脈に血栓が形成された状態を『深部静脈血栓症』という(図1). 2. 手術に伴い血栓が生じやすくなる要因 手術中および術後の『ポンプ作用の低下』が主な要因である. 麻酔で長時間動けない状態が続き, 手術後もベッド上で安静にする時間が長くなるいわゆる『大手術』症例に多く発症する. |
---|---|
ISSN: | 0285-922X 2186-5396 |
DOI: | 10.11516/dentalmedres1981.24.401 |