20.IL-1によってもたらされる軟骨細胞へのニトロ化ストレスと細胞死

(目的)関節リウマチ(RA)や変形性関節症等の病態に一酸化窒素(NO)の関与が示唆されているが, その詳細は明らかではない. そこで, RAにメディエーターであるIL-1βによる軟骨細胞死へのNOの関与を検討した. (方法)マウス軟骨細胞様ATDC5細胞およびラット肋軟骨細胞(RPC)にIL-1βを添加し, 細胞死およびアポトーシスを評価した. 誘導型NO合成酵素(誘導型NOS:iNOS)およびニトロ化ストレスの指標である8-ニトログアノシン(8-NO2-Guo)の生成を免疫細胞化学的に検討した. (結果)IL-1βは, 濃度, 時間依存的にRPCおよびATDC5細胞に細胞死をもたらし, その...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:昭和歯学会雑誌 2003, Vol.23 (4), p.305-305
Hauptverfasser: 宮本洋一, 安原理佳, 伊藤雅波, 上條竜太郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:(目的)関節リウマチ(RA)や変形性関節症等の病態に一酸化窒素(NO)の関与が示唆されているが, その詳細は明らかではない. そこで, RAにメディエーターであるIL-1βによる軟骨細胞死へのNOの関与を検討した. (方法)マウス軟骨細胞様ATDC5細胞およびラット肋軟骨細胞(RPC)にIL-1βを添加し, 細胞死およびアポトーシスを評価した. 誘導型NO合成酵素(誘導型NOS:iNOS)およびニトロ化ストレスの指標である8-ニトログアノシン(8-NO2-Guo)の生成を免疫細胞化学的に検討した. (結果)IL-1βは, 濃度, 時間依存的にRPCおよびATDC5細胞に細胞死をもたらし, その一部はアポトーシスを経ることが示唆された. IL-1β添加1時間後からATDC5細胞にiNOSmRNAの発現が誘導され, 3時間後に最大に達し, そのレベルが72時間まで維持された. この間, NO産生能も維持された. また, ATDC5細胞およびRPCにおけるiNOSタンパクの発現が認められた. さらに, IL-1βにより, ATDC5細胞およびRPCの主に細胞質に8-NO2-Guoが生じていた. NOS阻害剤L-NAME, スーパーオキシドジスムターゼあるいはNADPH-オキシダーゼ阻害剤は, IL-1βによる細胞死を有意に抑制した. 一方, NO自身には顕著な殺細胞作用は認められなかった. (考察)IL-1βによって引き起こされる軟骨細胞死はiNOSに依存するものの, 殺細胞作用の本体は, NO自身ではなく, NOとスーパーオキシドとの反応産物であるパーオキシナトライトが重要な役割を果たしていると考えられた. パーオキシナイトライトの生成は, 8-NO2-Guoの検出によっても裏付けられた. 以上より, IL-1βによる軟骨細胞への細胞障害には, 過剰産生されたNOに依存したニトロ化ストレスが重要な役割を果たしている可能性が示唆された.
ISSN:0285-922X