FGF-23とリン・ビタミンD代謝
Fibroblast growth factor(FGF)-23は, マウスFGF-15に対するホモロジー検索により同定された, 現時点ではもっとも新しいFGFファミリーのメンバーである. このFGF-23は, 常染色体優性遺伝性疾患である低リン血症性くる病/骨軟化病(autosomal dominant hypophosphatemic rickets/osteomalacia:ADHR), および腫瘍性くる病/骨軟化症(tumor-induced rickets/osteomalacia:TIO)と非常に類似した病態を示すことからこれらの疾患の惹起因子として注目を集めている. ADHRとT...
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Veröffentlicht in: | 昭和歯学会雑誌 2003-09, Vol.23 (3), p.250-250 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | Fibroblast growth factor(FGF)-23は, マウスFGF-15に対するホモロジー検索により同定された, 現時点ではもっとも新しいFGFファミリーのメンバーである. このFGF-23は, 常染色体優性遺伝性疾患である低リン血症性くる病/骨軟化病(autosomal dominant hypophosphatemic rickets/osteomalacia:ADHR), および腫瘍性くる病/骨軟化症(tumor-induced rickets/osteomalacia:TIO)と非常に類似した病態を示すことからこれらの疾患の惹起因子として注目を集めている. ADHRとTIO, およびX染色体優性低リン血症性くる病/骨軟化症(X-linked hypophosphatemic rickets/osteomalacia:XLH)は, 腎尿細管リン再吸収障害に基づく低リン血症を特徴とする疾患である. 通常, 低リン血症は血中1, 25-水酸化ビタミンD濃度を上昇させるが, これらの疾患では1, 25-水酸化ビタミンDが高値を示さず, リン再吸収の過程以外にビタミンD代謝にも異常が存在するものと考えられている. このうちXLHの原因遺伝子は, positional cloningによりPHEX(phophate-regulating gene with homologies to endopeptidases on the X chromosome)であることが明らかにされた. その後, 150種類以上のPHEX遺伝子異常がXLH患者で報告されている. 一方, 同じくpositional cloningによりADHRの原因遺伝子がFGF-23遺伝子であることが同定され, 現在までにFGF-23遺伝子の3種類のミスセンス変異が報告されている. FGF-23の発現は, ヒトでは肝, 心臓, 胸腺などに認められているが, 腎では確認されていない. FGF-23遺伝子異常がADHRの病態を惹起する機序については不明な点が残されているが, FGF-23遺伝子変異はArg176とArg179に集中している. また, これらのアルギニン残基によって形成されるRXXRモチーフは, プロテアーゼによる確認部位である. したがって, FGF-23遺伝子変異によりFGF-23蛋白のプロセッシングが障害される結果, 過剰なFGF-23作用によりADHRが惹起される可能性が想定されている. 本会では上記の内容の最先端研究が分野外の人にも解かるようにセミナーが行われた. |
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ISSN: | 0285-922X |