エナメル基質誘導体による硬組織形成に関する実験的研究
生物学的な歯周組織再生療法の観点からその有用生が示唆されているエナメル基質誘導体 (Enamel matrix derivative : EMD) による硬組織形成の可能性を, 骨組織の修復と骨改造そしてインプラント治療を含めた骨組織再生工学への応用に着目して研究した.実験ではラットの膜性骨 (頭頂骨) および軟骨性骨 (大腿骨) に作製した骨欠損部位にEMDを填塞し, 経日的な治癒過程を組織学的に解析した.また大腿骨に植立したチタンインプラントへの骨梁骨による支持に対するEMDの作用と同様に検討した.実験の対照群には, EMDのキャリアーとなるPGAを填塞した.骨の修復過程における骨芽細胞の...
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Veröffentlicht in: | 昭和歯学会雑誌 2001/03/31, Vol.21(1), pp.52-57 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 生物学的な歯周組織再生療法の観点からその有用生が示唆されているエナメル基質誘導体 (Enamel matrix derivative : EMD) による硬組織形成の可能性を, 骨組織の修復と骨改造そしてインプラント治療を含めた骨組織再生工学への応用に着目して研究した.実験ではラットの膜性骨 (頭頂骨) および軟骨性骨 (大腿骨) に作製した骨欠損部位にEMDを填塞し, 経日的な治癒過程を組織学的に解析した.また大腿骨に植立したチタンインプラントへの骨梁骨による支持に対するEMDの作用と同様に検討した.実験の対照群には, EMDのキャリアーとなるPGAを填塞した.骨の修復過程における骨芽細胞の分化と骨質の初期形成は微細構造観察と骨シアロタンパクの免疫組織化学から確認し, 破骨細胞の分化は多核巨細胞の微細構造観察とカテプシンKの分子発現から確認した.EMDによる骨再生は, 光顕, 透過電顕, BSE, μ-CT観察のほか, EDX分析を基に定性的・定量的に評価した.その結果, 頭頂骨および大腿骨に骨欠損を作製しEMDを填塞すると, 骨欠損部位での骨芽細胞を含む間質細胞の増殖と分化が顕著で, 新生骨基質の形成が促進された.骨の修復過程では早期から破骨細胞が多く出現し, 活発な骨改造が示された.新生骨の形成状態は骨の種類によって異なり, 膜性骨では欠損部辺縁骨膜からの骨新生が主であったが, EMD填塞群ではさらに欠損内部での間質細胞の凝集と特異な石灰化組織の形成が多く観察された.またEMDは, 大腿骨欠損部での骨梁骨の修復過程における骨新生や, インプラント体への骨梁骨の支持を有意に促進した.これらの実験結果から, EMDの骨組織再生工学への応用の可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0285-922X 2186-5396 |
DOI: | 10.11516/dentalmedres1981.21.52 |