培養破骨細胞の微細構造および吸収機能に対する細胞内タンパク輸送阻害剤Brefeldin-Aの作用
〔目的〕Brefeldin-A(BFA)はタンパク性分泌物を合成・分泌する細胞において, 粗面小胞体(RER)からのゴルジ槽板に向かう非クラスリン被覆小胞の出芽を抑制し, ゴルジ装置への物質輸送を選択的に阻害する. 本実験ではBFAを破骨細胞に作用させ, タンパク合成阻害による細胞構造と吸収能の変化を微細構造学的に解析した. また破骨細胞における液胞型H^+ -ATPase, Cathepsin Kの分子発現, 細胞内局在の変化を免疫細胞化学的に解析した. 〔方法〕破骨細胞を培養し象牙質切片に定着させた後, BFAを添加し経時的に化学固定し標本処理した. 〔結果〕BFA非存在下の対照群の培養破...
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Zusammenfassung: | 〔目的〕Brefeldin-A(BFA)はタンパク性分泌物を合成・分泌する細胞において, 粗面小胞体(RER)からのゴルジ槽板に向かう非クラスリン被覆小胞の出芽を抑制し, ゴルジ装置への物質輸送を選択的に阻害する. 本実験ではBFAを破骨細胞に作用させ, タンパク合成阻害による細胞構造と吸収能の変化を微細構造学的に解析した. また破骨細胞における液胞型H^+ -ATPase, Cathepsin Kの分子発現, 細胞内局在の変化を免疫細胞化学的に解析した. 〔方法〕破骨細胞を培養し象牙質切片に定着させた後, BFAを添加し経時的に化学固定し標本処理した. 〔結果〕BFA非存在下の対照群の培養破骨細胞は, 共培養した象牙質切片に対して波状縁と明帯を形成した. 一方, BFA添加群では象牙質切片上の, 脱灰領域と吸収窩の形成が強く抑制された. また, BFA添加による破骨細胞の構造変化は, 象牙質切片に対して明瞭な波状縁の形成に至らず, 細胞質内に大小の空胞が集積し, 巨大な空胞形成が観察された. さらにRER内腔の拡大とゴルジ装置の不明瞭化が生じた. 免疫細胞化学所見としては, 液胞型H^+ -ATPaseは, 対照群では波状縁の形質膜上, 波状縁近くの空胞, RERに見られたのに対し, BFA添加群では, 波状縁の欠如した形質膜に沿った発現が消失した. Cathepsin Kについても同様の所見が得られた. 〔結論〕今回の実験結果から, RER-ゴルジ装置の経路が, 破状縁の構造の形成, 機能発現に必須であることがわかった. さらに, BFAは破骨細胞に波状縁の消失, 巨大な空胞の集積等の構造変化を生じさせ, かつ吸収機能を強く抑制することが明らかとなるとともに, BFAを用いることで, 破骨細胞における様々な分子発現経路を, RER-ゴルジ装置系を経由するものと経由しないものとに振り分けることが可能になった. |
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ISSN: | 0285-922X |