エナメルタンパクによる硬組織誘導に関する実験的研究

〔目的〕歯の発生過程において, エナメルタンパクは象牙質とセメント質の形成に促進的に作用することが確認されており, 現在, このエナメルタンパク誘導体(EMD)を歯周組織の再生治療に応用する試みが行われている. エナメルタンパクは数種類存在するといわれ, 主にエナメル質結晶の成長と配列を制御する機能の他, エナメリン, タフテリンにおいては歯乳頭から象牙芽細胞の分化を誘導する作用があり, ヘルトヴィッヒの上皮鞘由来のアメロゲニンにおいては歯周嚢細胞をセメント芽細胞へと誘導する作用があると考えられている. しかしセメント質と類似した組成と組織構造を示す歯槽骨に対しては全く研究されていない. そこ...

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Hauptverfasser: 澤江佳子, 佐原貴子, 佐々木崇寿
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:〔目的〕歯の発生過程において, エナメルタンパクは象牙質とセメント質の形成に促進的に作用することが確認されており, 現在, このエナメルタンパク誘導体(EMD)を歯周組織の再生治療に応用する試みが行われている. エナメルタンパクは数種類存在するといわれ, 主にエナメル質結晶の成長と配列を制御する機能の他, エナメリン, タフテリンにおいては歯乳頭から象牙芽細胞の分化を誘導する作用があり, ヘルトヴィッヒの上皮鞘由来のアメロゲニンにおいては歯周嚢細胞をセメント芽細胞へと誘導する作用があると考えられている. しかしセメント質と類似した組成と組織構造を示す歯槽骨に対しては全く研究されていない. そこで演者らはアメロゲニンを主成分とするEMDの硬組織誘導を実験的に検討した. 〔実験方法〕5週齢のWistar系ラットを用い, 頭頂骨に1mmφのラウンドバーにて骨欠損を作り, EMDあるいはそのキャリアーであるPGAを注入した. 創面を閉鎖後, 4日, 1週間, 2週間後にラットを灌流固定し, 採取した骨試料を反射電子検出器, 光顕, 走査電顕, 透過電顕で観察した. 〔結果〕骨欠損部の治癒過程の早期において, EMDは骨欠損部およびその周囲の間質細胞に作用し, 未分化間葉細胞および骨系細胞の増殖を亢進させた. さらに骨膜の肥厚, 新生骨の形成を促進させる一方, 破骨細胞の分化に対しては抑制的に作用した.
ISSN:0285-922X