cisplatin, 5-fluorouracil併用によるNF-xB非依存性のICAM-1発現誘導

シスプラチン(以下CDDP)5-フルオロウラシル(以下5-FU)は, 頭頚部腫瘍の化学療法に用いられる抗癌剤であり, 両者を併用すると, その抗腫瘍効果が相乗的に増強されることが報告されている. これらの抗癌剤は癌細胞を直接障害することにより抗腫瘍効果を発揮し, その一方で, 両者を併用すると癌細胞の細胞分裂が停止する. また, ある種の癌細胞に抗癌剤を処理させると, 癌細胞はその細胞表面に種々の細胞接着分子を発現する. 特にICAM-1はT細胞と癌細胞の接着およびそれに引き続くTリンパ球の活性化に関与することから, 生体が癌細胞を排除する上で重要な接着分子と考えられている. そこで, 今回我...

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Veröffentlicht in:昭和歯学会雑誌 1999, Vol.19 (1), p.126-126
Hauptverfasser: 滝沢邦生, 上條竜太郎, 南雲正男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:シスプラチン(以下CDDP)5-フルオロウラシル(以下5-FU)は, 頭頚部腫瘍の化学療法に用いられる抗癌剤であり, 両者を併用すると, その抗腫瘍効果が相乗的に増強されることが報告されている. これらの抗癌剤は癌細胞を直接障害することにより抗腫瘍効果を発揮し, その一方で, 両者を併用すると癌細胞の細胞分裂が停止する. また, ある種の癌細胞に抗癌剤を処理させると, 癌細胞はその細胞表面に種々の細胞接着分子を発現する. 特にICAM-1はT細胞と癌細胞の接着およびそれに引き続くTリンパ球の活性化に関与することから, 生体が癌細胞を排除する上で重要な接着分子と考えられている. そこで, 今回我々は, 抗癌剤によるICAM-1発現状況およびICAM-1の誘導機序を検討した. CDDP, 5-FUの併用によるNA細胞のICAM-1の発現は, ベクトンディッキンソン社のFACScanにより計測した細胞表面でも, RT-PCR法を用いたmRNAレベルでも認められた. CDDP, 5-FU併用によるICAM. 1発現誘導は, genistein[protein tyrosin kinase(PTK)阻害剤]により阻害されたが, staurosporin(protein kinase C阻害剤)では阻害されなかった. gel shift assayの結果CDDP, 5-FUによりNF-Bの誘導が増強されたが, genistein処理によりNF-xBレベルは低下しなかった. またNR-xBの阻害剤でNA細胞を処理しても, ICAM-1の発現は抑制されなかった. 以上の結果より, CDDP, 5-FUによるNA細胞のICAM-1の発現誘導にはPTKが関与しており, NF-xB非依存性の誘導機序の存在が示唆された.
ISSN:0285-922X