ALアミロイド線維の微細構造

本研究は, 演者が平成8年6月1日から平成10年5月31日までカナダのMcGill大学において行われたアミロイドの微細形態学的研究について発表した. アミロイドーシスは全身の多臓器に線維性のアミロイド蛋白が沈着し, 組織を侵していくと考えられている. 今回の発表は, 免疫グロブリンL鎖由来のALアミロイドの微細構造と構成成分について検討した. さらに, 他のアミロイドとも比較検討した. ALアミロイドは, 直径2μmの同心円状の構造が集まり小葉状になって肝臓や脾臓に沈着していた. その同心円状の構造は, 直径10μmの屈曲したアミロイド線維により構成されていた. アミロイド線維の基本構造は,...

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1. Verfasser: 黒岩美枝
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:本研究は, 演者が平成8年6月1日から平成10年5月31日までカナダのMcGill大学において行われたアミロイドの微細形態学的研究について発表した. アミロイドーシスは全身の多臓器に線維性のアミロイド蛋白が沈着し, 組織を侵していくと考えられている. 今回の発表は, 免疫グロブリンL鎖由来のALアミロイドの微細構造と構成成分について検討した. さらに, 他のアミロイドとも比較検討した. ALアミロイドは, 直径2μmの同心円状の構造が集まり小葉状になって肝臓や脾臓に沈着していた. その同心円状の構造は, 直径10μmの屈曲したアミロイド線維により構成されていた. アミロイド線維の基本構造は, 直径3.5nmのべントゾームから構成されるアミロイドPコンポーネント(AP)と幅3nmのコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)が線維の芯を作りその周りを幅4.5-5nmのヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)が取り巻き, さらにその上に太さ1nmの各アミロイド蛋白が関与していた. 慢性炎症に関与するAAアミロイド, 家族性多発性神経障害に関与するトランスサイレチンおよびアルツハイマー病に関与するβ-アミロイドのアミロイド線維と比較してALアミロイド線維は, 線維の芯を構成するAPの量が少なかった. また, β2-マイクログロブリンが関与する透析性アミロイド線維では, 線維の芯を取りまくHSPGがCSPGで構成されていた. アミロイド線維は, アミロイド蛋白のみから構成されていると考えられてきたが, 本研究によりアミロイド線維の微細構造と構成成分との関係を明らかにすることが出来た.
ISSN:0285-922X