不適合インプラントにより広範囲に上顎歯槽骨を喪失した骨粗鬆症患者の咬合機能の回復

近年, 骨粗鬆症はその患者数の増加にともない注目される疾患の一つになっている.この疾患においては, 骨吸収が相対的に骨形成を上回っているため, デンタルインプラントを用いる際には十分な配慮が必要である.今回, 我々は骨粗鬆症患者に埋入されたデンタルインプラントが上顎洞内に迷入した症例を経験した.そこで, 上顎に植立されたデンタルインプラント体を摘出したところ, 左右共に小臼歯から大臼歯部にかけて広範囲にわたり歯槽骨が喪失した.通常の総義歯では咬合機能の回復が困難だったため, インプラントを再埋入し, それに磁性アタッチメントを応用して義歯を維持し, 咬合機能の回復を試みた.インプラントの植立部...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:昭和歯学会雑誌 1998/03/31, Vol.18(1), pp.92-96
Hauptverfasser: 加藤, 一郎, 角田, 左武郎, 住谷, 要, 真鍋, 真人, 新谷, 明幸, 福永, 秀樹, 南雲, 正男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 骨粗鬆症はその患者数の増加にともない注目される疾患の一つになっている.この疾患においては, 骨吸収が相対的に骨形成を上回っているため, デンタルインプラントを用いる際には十分な配慮が必要である.今回, 我々は骨粗鬆症患者に埋入されたデンタルインプラントが上顎洞内に迷入した症例を経験した.そこで, 上顎に植立されたデンタルインプラント体を摘出したところ, 左右共に小臼歯から大臼歯部にかけて広範囲にわたり歯槽骨が喪失した.通常の総義歯では咬合機能の回復が困難だったため, インプラントを再埋入し, それに磁性アタッチメントを応用して義歯を維持し, 咬合機能の回復を試みた.インプラントの植立部位は, デンタルスキャンを用いて歯槽骨の幅を測定し, 比較的歯槽骨に厚みがある犬歯部に埋入した.現在, 最終治療後1年以上経過したが, インプラントは弛緩することなく義歯の安定性も良く, 患者の満足が得られている.
ISSN:0285-922X
2186-5396
DOI:10.11516/dentalmedres1981.18.92