薬剤服用により歯肉増殖が認められた3症例について
抗痙攣剤のフェニトインやCa拮抗剤のニフェジピンなどの薬剤服用により歯肉増殖をきたした患者3名を, 治療する機会を得たので報告する. 症例1の患者は, 22歳男性. てんかんのため抗痙攣剤のフェニトインを1日300mg服用中である. 歯肉の腫脹, 出血および咀嚼障害を主訴に当科を受診した. フェニトイン服用を継続したまま, プラークコントロール, スケーリングおよびルートプレーニング, 全顎的な歯肉切除術を行い良好な治癒を認めた. 症例2の患者は, 72歳男性. 陳旧性心筋梗塞・高血圧のためCa拮抗剤の塩酸ジルチアゼムを1日90mgを服用中である. 左側臼歯部の痛みを主訴に当科を受診した. 塩...
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Veröffentlicht in: | 昭和歯学会雑誌 1994, Vol.14 (4), p.425-426 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 抗痙攣剤のフェニトインやCa拮抗剤のニフェジピンなどの薬剤服用により歯肉増殖をきたした患者3名を, 治療する機会を得たので報告する. 症例1の患者は, 22歳男性. てんかんのため抗痙攣剤のフェニトインを1日300mg服用中である. 歯肉の腫脹, 出血および咀嚼障害を主訴に当科を受診した. フェニトイン服用を継続したまま, プラークコントロール, スケーリングおよびルートプレーニング, 全顎的な歯肉切除術を行い良好な治癒を認めた. 症例2の患者は, 72歳男性. 陳旧性心筋梗塞・高血圧のためCa拮抗剤の塩酸ジルチアゼムを1日90mgを服用中である. 左側臼歯部の痛みを主訴に当科を受診した. 塩酸ジルチアゼムを変更または, 中止することなくプラークコントロール, スケーリングおよびルートプレーニングを行い良好な治癒を認めた. 症例3は, 17歳男性. ステロイド依存性ネフローゼ症候群のためニフェジピンを1日20mgシクロスポリンを1日体重1kgあたり5mgを服用中である. 上顎左右臼歯部の歯肉の腫脹, 出血および咀嚼障害を主訴に当科を受診した. ニフェジピンのみ中止し, プラークコントロール並びにプロフェッショナルトゥースクリーニングを行い良好な治癒を認めた. グリックマンや中嶋らは, 歯肉増殖の発現や進行に際して, 局所の炎症が重要な役割を果たしている因子であると報告している. また, 吉川らは, 歯の存在も重要な因子であると報告している. そこで, ブラウンらは, 歯肉増殖をきたす薬剤, 細菌, 歯の3つすべての条件が重なり合うことによって歯肉増殖が発現すると図示している. このことより, 歯肉増殖症の治療方針として, 薬剤の服用中止および減量, 細菌によって惹起される炎症を軽減するための歯周治療を行うことが重要であると考えられた. |
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ISSN: | 0285-922X |