外科矯正を併用した歯周治療の一症例

不正咬合のため, 外傷性因子の除去や, 良好なプラークコントロールの維持が困難と思われた中等度歯周炎患者に対し, 矯正科, 口腔外科とのチームアプローチにより口腔内環境を改善し, 良好な結果を得た. 患者は, 初診時23歳の女性で歯肉腫脹と5の動揺を主訴として, 1990年11月24日当科に来院した. 口腔内所見は, 反対咬合と歯列不正のため, プラークの付着が著明であった. 全顎にわたり, 歯間乳頭部歯肉の発赤, 腫脹が認められ, レントゲン写真の所見では, 歯槽骨頂部の歯槽硬線が消失または稀薄化し, 臼歯部では, 上下顎ともに歯槽骨頂部骨梁の鬆粗化が認められた. 外傷性咬合が認められた部位...

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Veröffentlicht in:昭和歯学会雑誌 1994, Vol.14 (1), p.69-70
Hauptverfasser: 栗原千佳子, 栗原眞幸, 長谷川紘司, 平川崇, 柴崎好伸, 大野康亮, 道健一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:不正咬合のため, 外傷性因子の除去や, 良好なプラークコントロールの維持が困難と思われた中等度歯周炎患者に対し, 矯正科, 口腔外科とのチームアプローチにより口腔内環境を改善し, 良好な結果を得た. 患者は, 初診時23歳の女性で歯肉腫脹と5の動揺を主訴として, 1990年11月24日当科に来院した. 口腔内所見は, 反対咬合と歯列不正のため, プラークの付着が著明であった. 全顎にわたり, 歯間乳頭部歯肉の発赤, 腫脹が認められ, レントゲン写真の所見では, 歯槽骨頂部の歯槽硬線が消失または稀薄化し, 臼歯部では, 上下顎ともに歯槽骨頂部骨梁の鬆粗化が認められた. 外傷性咬合が認められた部位には著しい垂直性骨吸収と, 臼歯部にLindhe 2級の分岐部病変が認められた. 初期治療で十分なモチベーションを行ったうえで, 炎症性因子に対する処置を行った. 削合による咬合調整だけでは, 円滑な咬合運動を導くことが困難な外傷性咬合を有する部位については, 歯周外科終了後の外科矯正とその後の咬合調整に委ねた. その結果, 炎症性因子とあわせて, 外傷性因子が軽減したことによって, 歯周組織の健康を回復することができた. また, 歯列不正が改善したことにより, 長期的なメインテナンスに必要な, プラークコントロールしやすい口腔内環境を整えることができた. さらに, 患者自身が満足しうる審美性が得られたことは, コンプライアンスをさらに向上させ, 患者の口腔の健康維持に向けての積極性をより高める結果となった.
ISSN:0285-922X