酸化アルミニウム粉末噴射時のエナメル質・象牙質の形態学的研究

現在の歯科治療に対して, 患者側の切実な希望は疑いもなく歯を切削する時の不快な金属音と注水, そして局所麻酔であると思う. 今回, 当教室でAmerican Dental Laser社製の酸化アルミニウム粉末噴射法により, 初期う蝕の処置を行うことのできる装置, KCP-2000を入手したので, 装置の概要とエナメル質・象牙質に対する形態学的作用と臨床症例に関して報告する. 被験歯として人の抜去歯, 前歯・臼歯32本を使用し, 観察目的に応じてエナメル質・象牙質・う蝕部, さらに洗浄した場合としない場合に分類した. 装置はKCP-2000を用いた. この装置は, ノズルの先端の直径が約0.3...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:昭和歯学会雑誌 1993, Vol.13 (4), p.462-462
Hauptverfasser: 斎藤恭子, 島田玲子, 若林始, 松本光吉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:現在の歯科治療に対して, 患者側の切実な希望は疑いもなく歯を切削する時の不快な金属音と注水, そして局所麻酔であると思う. 今回, 当教室でAmerican Dental Laser社製の酸化アルミニウム粉末噴射法により, 初期う蝕の処置を行うことのできる装置, KCP-2000を入手したので, 装置の概要とエナメル質・象牙質に対する形態学的作用と臨床症例に関して報告する. 被験歯として人の抜去歯, 前歯・臼歯32本を使用し, 観察目的に応じてエナメル質・象牙質・う蝕部, さらに洗浄した場合としない場合に分類した. 装置はKCP-2000を用いた. この装置は, ノズルの先端の直径が約0.34mmで, 噴射速度はSlowが80psi(5.6kg/平方センチ), Mediumが120psi(8.4kg/平方センチ), Highが160psi(11.2kg/平方センチ), 粒子の大きさは, 径が約50μmと約27μmの2種類があり, 今回は約27μmを用い, 噴射速度もSlowとし, ノズルの先端より2mmの位置に保持した. 実験および治療中には, マスクとゴーグルを使用した. 観察方法は, 処置前と処置後に実体顕微鏡にて観察, 撮影後, 常法に従い脱水・乾燥・蒸着を行い加速電圧20kV下でSEM観察, 撮影を行った. SEM所見では, エナメル質・象牙質とも弱拡大では砂丘状を示すが, 強拡大ではエナメル質は約2μm前後の粒子状物質が観察され, 象牙質は象牙細管内に微細粉末粒子が充填され, ごく一部の細管口が観察された. 洗浄した症例では著しい表面の凹凸状を示した. 臨床応用では始めたばかりなので断定的な結果は言えないが, 無麻酔下で咬合面・歯頚部の初期う蝕処置は可能であった. 今回は, エナメル質・象牙質に対する形態学的観察が主目的であったので, 窩洞形成の速度・深さ・形態については検討中である.
ISSN:0285-922X